だが、このようなケースは往々にして、部活の在り方に疑問を持つ「常識派」と、顧問が理不尽な要求をしてもそれに逆らえない「教祖派」の二つに保護者が分断される。特色としては、顧問に逆らえない保護者は、子どもをスポーツ推薦で高校に進学させたい人が多く、その対岸に位置する親子は受験勉強をして希望校を目指す。
そして、それはそのまま子どもたちの心の分断を呼ぶ。この男子バレー部も、子どもが主体の楽しい部活動からはかけ離れるばかりだろう。
それでも大会を実施する、大人側の都合
ところで、なぜ顧問は生徒の命を危険にさらすような闇部活を強行したのだろうか。
筆者は、全国高校総体(インターハイ)や夏の甲子園の開催中止が決定する前の3月下旬までに、バスケットボールなどいくつかの競技で休校中の部活動が実施されている実態を取材。『休校中の「闇部活」コロナ禍でも強行される異様 安全より「インターハイ」を優先する大人たち』の記事を上梓した。部活顧問たちは、開催されるかもしれないインターハイで勝つため、「他校を出し抜け」との顧問の号令で、隠れて練習を重ねていた。
記事が出た日には日本バスケットボール協会から、休校時の練習等の活動中止の徹底を呼び掛ける通達が関連団体や指導者ライセンス取得者になされている。
その後、インターハイなど全国大会は中止。「子どもたちがかわいそう」「最後に花道を」という声が強くなり、甲子園では春のセンバツ出場校が各校1試合ずつ試合をするなど、「思い出作り大会」の開催を望む声が高まった。
全国中学校体育連盟(中体連)主催の「全日本中学校バレーボール選手権大会」も中止になったが、上記の流れは中学生のバレーボールの世界でも強かったようだ。
調べてみると、中学生向けの全国大会が実施される計画があった。後援・準備委員会は民間の団体だ。都道府県予選はなく、主催者側の推薦で出場できるという。
【2020年7月10日22時32分追記】全国大会について誤解を招く可能性のある表現がありましたので、初出時から一部見直しました。
もうひとつ、東京都中学校総合体育大会(夏季)中止にともなう「3年生代替大会」の開催も予定されている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら