「就活生ウケする取り組み」はここまで変わった チャレンジ支援激減、「制度」求める学生多数

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たぶん新型コロナウイルスによって在宅勤務とフレックス制を採り入れる企業が増えた影響だろうが、「テレワーク」と「フレックス制」は特に目立っている。テレワークに言及する学生は昨年までほとんどいなかった。フレックス制もそれほど多くなかった。

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1つにはコロナ禍の影響だろうし、もう1つの理由は「働き方改革」がたびたびメディアに取り上げられたことだと思う。とくに注目したいのは、制度をよく知ったうえで「コアタイムなし」と条件を付ける学生がかなりいることだ。

「フレックスタイム制などの働く時間を自分で決めることができる制度」(理系・上位国公立大)

「コアタイムなしフレックス制度」(文系・早慶大クラス)

「フレックスタイム制度。満員電車が嫌だったから」(文系・早慶大クラス)

「フレックスやテレワークの制度が整っているだけでなく、実際に活用している企業は志望度が高まった」(理系・中堅私立大)

素朴な学生が減っている?

アンケートを見ての感想だが、素朴な学生が減ったように感じる。以前はセミナーや面接での人との出会いで感激する学生が多かった。ただ、2021年卒では対面でのセミナーや面接が減ったせいか、インターンシップでの出会いを評価する学生が圧倒的に多い。

もう1つの感想はいろんな条件を掲げる学生が増えているということだ。まとめると次のようになる。

「残業はなくて休日が多く」、「保育園や託児所があって女性が活躍でき」、「テレワーク、ドレスコードフリー、フレックスは必須」、「海外研修があり、資格取得制度があって資格を取れば給与に反映され」、「無料のカフェや食堂があって奨学金返済支援制度が充実し」、「家賃が補助され、希望者は全員寮に入れ」、「アルバイトやボランティアもOK」、「キャリアプランも本人が満足できる」

こういう条件を満たす企業ならいい人生が送れると考えているのかもしれないが、砂糖のように甘くて違和感がある。

そして10年前なら多くの学生が挙げた単語が消えている。

例えば、「夢」を使った学生はたった1人だ。「自分の夢を実現するために2年間休職が認められる制度」(文系・上位国公立大)。「実現」を使った学生はこの学生のほかにもう1人。「社員の声で実現した制度があること」(理系・上位私立大)。

「自己」という単語も1人だけだ。「自己啓発資金を頂ける企業」(文系・中堅私立大)。「チャレンジ」を使った学生は5人。「若手でもチャレンジできる組織体制」(文系・その他国公立大)などだ。

見てわかる通り、夢、実現、自己、チャレンジという単語を使っていても、何かに挑戦して自己実現したいわけではない。今の学生は「制度」がほしいだけである。

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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