疑惑の「事業協力者住戸」千代田区が残した教訓 デベロッパーと行政との適切な関係とは
今回の論点は、総合設計制度を濫用したか、さらに三井不レジから特別扱いされていることを石川区長が知りながら住戸を購入したかにある。登記簿謄本によれば、住戸の持ち分は区長、夫人、次男の3人でおよそ3分の1ずつ保有しており、住戸の代金である約1億2000万円は自費で支払っている。それでも、規制緩和の対価として民間企業が便宜を図ったならば、区の倫理規定に抵触する。
前者について、石川区長は自身の名で総合設計制度を認可したことについては認めているものの、「(認可には)厳しいルールがあり、裁量の余地はない」と話す。後者についても、百条委員会にて区長は「次男から資金援助の相談を受けた際には知らされなかった。3月にこの問題が報道されて、初めて事業協力者住戸であることを知った」としている。
また、「次男が購入の当事者で、自分は資金援助をしたにすぎない」と話し、自身でモデルルームを訪問したり三井不レジの担当者と接触したりしたことはなかったという。結局、3時間ほど開かれた委員会では、「知っていた」「知らなかった」の押し問答が続いた。
これまでもあった「疑惑」
マンションの購入をめぐって石川区長に疑惑が持ち上がったのは、今回が初めてではない。登記簿謄本によれば、石川区長はこれまで千代田区内で5戸のマンションを購入している。そのうち2007年に夫人と購入した住友不動産分譲のマンションは、今回と同様に総合設計制度を利用して開発された。このマンション開発では東京都が許認可権者ではあったが、当時の区議会では職員が「区で決めている要項や条例に関しては、千代田区も関わっている」と答弁している。
2014年には石川区長が夫人および三井不レジ分譲のマンションを長男と共同で購入したが、こちらも再開発にあたって千代田区が地区計画を決定している。許認可に携わったマンションを自ら購入するのは不適切ではないか、という追及はかねて区議会でなされていた。
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