「飲食店の路上利用緩和」ができない街の末路 単なる飲食店救助策と捉えると見誤る

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「道路空間の利用は今後の都市経営の悪化を防ぐための大きな一手」と見るのは、5月22日から歩道を利用したオープンテラス「SAGAナイトテラスチャレンジ」を社会実験として開催した佐賀県で、中心市街地のまちづくりに関わる建築家・西村浩氏だ。

「密を防ぐために距離を取った空間利用では、不動産の単位面積当たりの収益が落ちます。賃料が払えない店やオフィスが出てきて空室が生じることになり、不動産所有者も収入が減るか、場合によっては破綻もありえるかもしれない。それによって路線価が下がり、税収が減少すると、そのまちに住む人全員に影響が及ぶ。飲食業が大変という他人事ではないのです」

土地の使い方次第でまちの稼ぐ力に差が出て、税収、公共サービスに影響を及ぼす可能性があるわけで、それがこの数年、公園や水辺、道路といった公有地の活用が行われるようになってきた背景である。行政が動かせるのは公有地だけだからだ。

道路が「使える」ようになることの意味

こうした中、道路の活用が遅れていたのは前述のとおり、安全の問題から。だが、街中にある公有地で最も多いのは道路だ。公園、水辺は点在しているが、道路はほとんどすべての建物に接しており、都市の中で非常に大きな面積を占めている。道路が使えるようになれば、ソーシャルディスタンスで減った店舗やオフィスなどの稼ぐ面積を取り戻し、増やすことができるかもしれないのである。

ただ、佐賀県の社会実験以降、6月半ばまでのニュースを注視してきた限りでも、すでに自治体差は明らかに存在している。稼ぐ気がある、稼ごうとしている自治体と、やる気がないのか、何もしようとしない自治体があるのだ。

佐賀県では山口祥義知事が真っ先に道路利用を言い出し、西村氏が窓口となった政策課さがデザインとネットミーティングで企画提案とアドバイスをしたのが5月8日。それから通常半年から1年かかる協議を2週間で終わらせて実施にこぎつけており、そのときの写真が国交省のリリースに使われている。ちなみに国交省が参考にしたのは佐賀県に加え、浜松市、仙台市、大分市だそうである。

同じタイミングで静岡県沼津市でも沼津新仲見世商店街と沼津銀座東側路地で社会実験「NUMAZU OPEN AIR NIGHT vol.1」が行われている。こちらも2週間ほどで実現に至っており、過去に社会実験を重ねてきたからできたこと、と評価する声を聞いた。

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