3密を避け密になる「在宅コミュケーション術」 リモート時代の会議と打合せの「新常態」

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しかし、これはいいことばかりではありません。「一緒に働いている」という実感が失われてしまうことによって、チームとしての一体感が失われて、仕事がどんどん孤独なものになってしまうのです。

そこでおすすめしたいのが、朝メール・夜メール。もともとはワーク・ライフ・バランスの第一人者である小室淑恵さんのアイデアで、仕事を始める前にその日の予定を報告する「朝メール」を送り、仕事終わりにはその日の実績を書いた「夜メール」を送るというもの。これによって、非同期のチームにも同期するタイミングが生まれ、チームとしての一体感を取り戻すことができるのです。朝メールには、個人的なニュースを書く項目も作ってパーソナルなニュースも共有するようにすると、さらにお互いの顔が見えて効果的です。

3.リアル会議を超える「議事録ドリブン会議」

オンラインの会議も、一工夫しましょう。「議事録ドリブン会議」の導入です。

テレビ会議では、お互いの顔を見ながら議論できるという点はいいのですが、その分、話がいろいろな方向に飛びがちです。リアルの会議でもよく起こることではあるのですが、参加者がいろいろと自由に発言していった結果、一体何が決まったのか、何が決まっていないのかがわからなくなってしまいがちなのです。結論がどこに着地したのかがわからない、こうした会議の「空中戦」をなくすための方法が、議事録ドリブン会議です。

これは、会議を通じて議事録をリアルタイムに書き上げていく手法です。テレビ会議の画面とは別に、Google Documentsなどのオンラインツールを立ち上げます。あらかじめアジェンダ(議論する項目)をリストアップした書類をオンラインに用意しておき、そこに決まったことを書いていくのです。全員オンラインでつながっているので、誰もが議事録に書き込めるので、あっというまに議事録が完成します。

こうすれば、会議が終わるとすぐに、全員が同意した議事録が共有されるので、例えばテレビ会議に参加していなかった人ともすぐに情報共有ができます。また、話が飛んだり、脱線することも少なくなりますし、記録が残るので「言った、言わない」という不毛な争いもなくなります。これにより、短時間の打ち合わせでプロジェクトをどんどん進めることができるようになります。

そしてなにより、こうして議事録というひとつの作品をみんなで作り上げる一体感を感じることができるという利点があります。リアルに会わない分、オンライン上でいかに共創していくかということが、在宅勤務でのチームマネジメントの重要なポイントなのです。

オンラインはリアルよりも強いつながりを生む

オフィスという同じ場所にいるときは、実はチームのメンバーが同床異夢の状態でも見過ごされがちです。実際、毎日顔を合わせていても、会社としてのビジョンが共有されていなかったり、チームとしての目標に対して思いが異なっていたりすることがあります。

しかし、例えば「朝メール・夜メール」や「議事録ドリブン会議」のようなオンラインでのコミュニケーションでは、リアルのような曖昧なやり取りでは成立せず、互いに考えや意志をキッチリ表明し、それが履歴として残るようになります。

こうしたコミュニケーションを受け入れることで、より強固なチームマネジメントさえ可能になると思います。

小山 龍介 ブルームコンセプト代表取締役

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こやま りゅうすけ / Ryusuke Koyama

1975年福岡県生まれ。AB型。京都大学文学部哲学科美学美術史卒業。大手広告代理店勤務を経て、米国MBAを取得。その後、松竹株式会社 新規事業プロデューサーとして歌舞伎をテーマに新規事業を立ち上げた。2010年、株式会社ブルームコンセプトを設立し、現職。名古屋商科大学大学院 准教授(ビジネスモデル論)、(社)ビジネスモデルイノベーション協会 代表理事、(社)日本能楽謡隊協会 理事、ビジネスモデル学会 プリンシパル。宝生流シテ方能楽師の佐野登に師事し、2015年『土蜘』を演能。著書に『IDEA HACKS!』(東洋経済新報社)をはじめとするハックシリーズ、訳書に『ビジネスモデル・ジェネレーション』(翔泳社)等がある。

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