在宅で「働きすぎな人」が実はやっていないこと いつの間にか起きてから寝るまで働いている
3つめのコツは、小まめに成果を見せること。顔が見えない不安を取り除くには、この方法がいちばんだ。聞いたこともない会社に高い料金を支払うのだから、契約を結んだ途端に不安になるのも無理はない。だから、なるべく具体的な成果を見せるといい。形になっていることが見えてくれば、顧客も安心して仕事を任せられる。
4つめのコツは、いつでも連絡がとれるようにしておくこと。直接会えない分、電話やメールやメッセージを小まめに返す。これはビジネスの基本だが、リモートで働くときにはなおさら重要だ。顧客の心理として、遠くにいるほうが不安になりやすいからだ。近所の会社なら、いざとなったら直接乗り込んでいけるという一種の安心感がある。でも離れている場合、連絡がとれなくなったらおしまいだ。だから顧客を不安にさせないように、積極的にコミュニケーションをとったほうがいい。
最後に、5つめのコツ。顧客をどんどん巻き込んで、一緒に仕事を進めていこう。当事者としてプロジェクトに参加してもらうのだ。確かに僕らはデザインの専門家だが、ビジネスをよく知っているのはその顧客自身だ。だからオンラインの共同スペースをつくり、スケジュールを共有して、進捗をいつでも確認できるようにしておこう。小まめにフィードバックを求め、意見を聞き、タスクを割り振っていこう(あるいは、タスクの割り振りに参加してもらおう)。
自分がプロジェクトの一員だと感じられれば、不安よりも期待のほうが大きくなる。
リモートワークの落とし穴
世の中には、100%いいことも、100%悪いこともない。大切なのは、いいところを楽しみつつ、悪いところのダメージを減らしていくことだ。ここからは、リモートワークならではの難しさやリスクについて検討してみたい。
リモートワークの落とし穴①自由は屈従になりうる
「自由は屈従である」
ジョージ・オーウェルの小説『一九八四年』にでてくる言葉だ。
この有名なスローガンをあえて曲解すれば、リモートワークの落とし穴のことをいっているようにも聞こえる。自由すぎて、仕事とプライベートのバランスがとれなくなるということだ。9時〜5時という縛りがないぶん、うっかりするとつねに仕事に縛られている状態になってしまう。
始まりはささいなことだ。朝起きて、ベッドのなかで仕事メールをチェックする。そのまま何通か返信を書く。それから簡単なサンドイッチをつくって、昼休みもとらずに仕事をする。夕食を食べた後、気がかりなことを1件思いだして同僚に連絡をとる。
そうこうしているうちに、勤務時間は朝7時から夜9時にまで延びている。
やる気のある人ほど、こうしたわなに陥りやすい。
リモートワークに慣れていないマネジャーは、部下が働かないのではないかと心配する。でも本当は、働きすぎることを心配したほうがいい。部下の様子が見えないので、気づいたときには完全に燃え尽きていたということにもなりかねないからだ。