専門メディアが掘り当てた、ネットの"金脈"

"孫正義の愛弟子"アイティメディア大槻社長が語る

つまり、IT担当者の名刺情報やコンテンツにアクセスした情報は、課金と同等、もしくはそれ以上の価値がある。この「リードジェネレーション」(見込み顧客のリストを作成して活用する仕組み)のモデルはネットメディアの大きな収益の機会になるだろう。当社の中でもいちばん伸びているし、このビジネスモデルの分野でトップになれると思っている。ネットメディアを運営すると、課金収入やコンテンツの販売を考えるものだが、テックターゲットの仕組みはネット広告の対抗軸になりうる。

今後はイベントに来場した情報や記事にアクセスした情報、資料をダウンロードした情報もすべてIDでつなげていく。メディアの価値を違う形でおカネに変えていく。この仕組みはITサービスだけでなく、その他のサイトにも応用できるだろう。

――広告主は従来のような広告枠ではなく、より選別された人を求めるようになっている。これからどんな広告を展開していくのか?

大きなトレンドは、やはり行動ターゲティング広告だ。具体的には、前述のテックターゲットのように、ユーザーの個人情報と行動履歴(ページ閲覧、広告クリック、検索の履歴など)を結び付け、よりユーザーの興味関心に沿った広告を配信することだ。

つまり、ユーザーがアイティメディアのサイト内でコンテンツに接触した情報が価値となる。ビジネス系やコンシューマー系のサイトにも必ず応用されていくだろう。

現在、ユニークブラウザ(期間内にサイトを訪れた、重複のないユーザーの数)は月2000万を超える。行動ターゲティングをやると、ユニークブラウザが多い強みもさらに発揮できる。コンテンツに接触した情報が多ければ多いほど、より精度の高いターゲティングが実現できるからだ。データは最低でも6カ月分保存して分析をかけている。ここが最も重要な柱で、さらなる投資をしていきたい。データサイエンティストも社内で育成している最中だ。

また、今年は動画広告もポイントになる。「今年こそ来る」と言われ続けている分野だが、広告主の中でもチャレンジが増えていきそうだ。これにはしっかり対応したい。得意のタイアップ型広告も依然としてニーズがあるだろう。一方で、従来型の固定位置のバナー広告などは時代的に厳しい。行動ターゲティング広告へのシフトが必要だ。

30ものサイトを運営する理由

――多数のサイトを展開しているが、全体のブランド管理や運営が難しくならないのか?

専門メディアという意識を持ってさまざまなサイトを立ち上げてきたため、現在は30のサイトを運営している。以前、株主総会で「アイティメディアのブランドに統合しないのか」という意見をいただいたことがある。これは、M&Aをしてきたため、難しいという事情もあるが、新しいメディアを迎えたり、異質のメディアを実験したりする場合、ユーザーの印象や広告に与える影響を考えると、同じブランドでないほうがいいという判断からだ。

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