コロナ不況が「日本の化学業界」に与えた大打撃 自動車需要激減で今期業績は軒並み大減益に

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とくに今上期(2020年4〜9月)は事業環境が厳しい。用途別に事業セグメントを区分している三井化学は、自動車関連事業の2020年度の売上高が3000億円と昨年度比18%減ると予想。バンパーなどに使用される主力のPPコンパウンド(ポリプロピレンにほかの樹脂や添加剤などを混ぜてカスタマイズしたもの)の出荷減が響き、事業営業利益は275億円と同35%減を見込んでいる。

東レは海外で積極的な設備投資

国内の化学・繊維メーカーは近年、こぞって自動車向け素材・材料ビジネスの強化を推し進めてきた。

東レ製の車載電池用セパレーター。リチウムイオン2次電池の安全性を担保する重要な材料で、旭化成と車載用途で世界首位の座を争っている(写真:東レ)

例えば、東レは車載電池用セパレーターやエアバッグ基布などの生産能力を拡大すべく、海外で積極的な設備投資を実施。セパレーターでは2017年に1200億円規模の巨額投資構想を表明し、韓国の工場を毎年のように増設。旭化成と世界首位を争っており、欧州(ハンガリー)の生産拠点も2021年夏に稼働開始する。

旭化成もその車載電池用セパレーターを始め、エコタイヤ用合成ゴムの生産能力拡大などに資金を投下。さらに2018年には約800億円を投じ、自動車用の織物・編物製シート材の世界大手、アメリカのセージ・オートモーティブ・インテリアズを買収した。宮崎県延岡市で生産する人工皮革も自動車内装材用途での需要拡大を見込み、生産設備を大幅に増強中だ。

旭化成が技術力をアピールするために用意した次世代コンセプトカー。車内や外装などに同社のさまざまな素材・材料を用いている(記者撮影)

帝人は800億円超を投じ、ガラス繊維複合材製の自動車外板成形を得意とするアメリカのCSP社を2017年に買収した。CSPはゼネラルモーターズを始めとするビック3や現地のトヨタなどと直接の取引があり、そうした世界的な完成車メーカーに深く食い込むためのM&Aだ。その後も欧州で自動車用吸音材などを手がける不織布メーカーや複合材料・部品会社を相次ぎ買収している。

また、化学系の大手各社は近年、自動車関連事業の強化策として、関連するさまざまな素材・材料を一括して取りまとめる専門の部署を相次ぎ設立。その専門部署が代表窓口となって、国内外の自動車メーカーや主要サプライヤーに技術や製品を総合提案する営業活動にも力を入れてきた。

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