ドライブスルーに宅配、スマホアプリ――。
5月25日に緊急事態宣言が全国で解除され、約1カ月が経過した。影響は多岐にわたったが、中でも外食業界は、外出自粛などによってかつてない強烈な逆風にさらされた業界だ。各社ともに「underコロナ」を脱し、今度は「withコロナ」を見据え、さまざまな戦略を打ち出している。
6月26日(金)発売の『会社四季報』(2020年3集夏号)では、上場企業全3778社に担当記者が業界に張り付いて1社1社取材し、独自の業績予想を掲載。外食企業の記事をめくっていくと、新型コロナウイルスの逆風を受けながらも、日々の事業運営に苦闘する様子がうかがえる。テイクアウトをはじめ、ここでは誌面に収まらなかった外食業界のさまざまな対策について、その一端を紹介したい。
マックはスマホアプリで”渋滞知らず”
なんといってもコロナ禍では、ドライブスルーの利用が急増した。店内に入らずに商品を買うことができ、感染リスクを軽減することが効いたからだ。ただ、利用者の急増によって道路で渋滞が発生し、近隣住民の迷惑となることもあった。また多額の設備投資が必要になることや、スペース上の都合から、ドライブスルーを設置できていない店舗も多い。
そこで各社が活路を見いだそうとするのが駐車場だ。日本マクドナルドホールディングスは、事前にスマホアプリから注文・決済して、駐車場で商品を受け取れる仕組み「パーク&ゴー」を導入。4月末に実験的に導入後、顧客の反響がよかったことからスピードを拡大。6月には全国33都道府県・約250店で稼働している。
事前にスマホで注文できる「モバイルオーダー」自体は、2019年から導入を進め、今年初めには全国展開していた。これまではテイクアウト商品をカウンターで受け取る場合と、店内飲食の場合にのみ対応していたが、今回、駐車場で受け取るという選択肢を増やした形だ。「新型コロナを受けて開発したわけでなく、以前から構想はあった。ただ現状を踏まえて、開発・導入を早めた」(日本マクドナルド)と、導入を急いだことを率直に明かした。
顧客はスマホで注文した後、自家用車で店舗に向かう。専用の駐車スペースに車を停めたら、駐車場番号をアプリで入力すると、登録したクレジットカードなどで決済が完了する。数分後、従業員が駐車場所まで商品を届ける、という流れだ。海外では「カーブサイド・ピックアップ」と呼ばれ、先行して導入されている。
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