マクドナルドの場合、全店舗の1割強に当たる300店まで、年内に導入店舗を拡大する計画だ。約1400店ある、ほかのテナントと駐車場を共有する店舗においては、マクドナルド単独の判断で導入できないため、今後協議を進めていくという。
設備投資額については「駐車スペースに設置する番号の書かれたポール、駐車場床面のプリント、店内の告知ポスターなど微々たるもの。とても安価に導入することが可能」(同)。駐車場さえあれば導入できることから、ドライブスルーを設置できなかった店舗での導入効果は大きそうだ。
また、松屋フーズホールディングスが運営する牛丼チェーンの「松屋」でも、駐車場で商品を受け渡す仕組みを導入する計画だ。マクドナルドのような専用アプリはないものの、電話などで事前に注文し、駐車場で商品を受け取る方式を拡大していく。
「ドライブスルー設置店舗は、コロナ禍でも売り上げの落ち込みが緩やかだったが、敷地面積を多く要するデメリットもある。駐車場での受け渡しであれば、スペースが小さくても可能だ」(松屋フーズ)と、駐車場を積極活用していく姿勢だ。
一方、顧客に来店してもらうのでなく、外出を控える顧客の家までデリバリーする動きも加速している。
ワタミはウーバーイーツよりも自社宅配
居酒屋「和民」や「三代目 鳥メロ」などを展開するワタミは、ウーバーイーツなどの宅配代行サービスに加え、自社独自の宅配を7月から開始すると発表した。対象となるのは、従来から持ち帰りやデリバリーの販売比率が高い「から揚げの天才」、「bb.q オリーブチキンカフェ」の2業態だ。
「片手間でデリバリーをやるなら、ウーバーは非常に便利。が、売り上げの多くをデリバリーが占めるとなると、手数料が収益を圧迫してしまう」。6月22日の記者発表会で渡邉美樹会長兼CEOは、自社で宅配を始める動機をそう語った。
コロナによって生活様式が変化した結果、売り上げに占めるデリバリーの比率は、から揚げの天才で約40%、bb.q オリーブチキンカフェで約25%にまで上昇したという。宅配代行サービスでは、商品単価の35%~40%の手数料に、配達料も上乗せされる。デリバリーが売り上げの多くを占める段階になると、自社で宅配すれば採算が上がると判断したわけだ。
ワタミでは、自社宅配が最も安いという「ベストレート保障」を掲げ、宅配代行サービスより3~4割安上がりになることを訴求していく。とはいえ、自社での宅配には、交通事故や人手確保などの課題もつきもの。これに渡邉会長は「(損害)保険や人手の問題はなかった。人手については、休業している店舗の社員に配達してもらう。ワタミで教育された社員が届けてくれるということで、顧客も安心するのではないか」と説明。課題を1つずつクリアしていく。
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