これまで店内飲食に専念してきたが、”片手間”で宅配代行サービスの導入に踏み切るのが、イタリアンファミレスチェーンのサイゼリヤだ。7月第2週から埼玉県の8店舗で、試験的に出前館を活用した宅配を始める。
6月23日に記者会見を開いたサイゼリヤの堀埜一成社長は「もともとテイクアウトもデリバリーもやらないと言っていたが、前言撤回するのは経営環境が大きく変わってしまったから。ここで自分たちが変わらないとガラパゴス化して死んでしまう」と危機感を示した。
それだけではない。サイゼリヤはこれまで2度の消費増税の際にも、299円(税込み)を維持してきた看板商品「ミラノ風ドリア」について、300円(同)へと改定する。7月1日にスタートする新しいグランドメニューでは、すべての商品を50円単位の価格設定にし、1円玉、5円玉、10円玉を使わずに支払えるようにした。これも感染予防対策の一環だ。
頑なに避けてきたキャッシュレス決済もついに全店へ導入する。7月から徐々に導入を進め、年内に完了する計画である。価格改訂とキャッシュレス決済によって、「レジでの接触を8割削減する」(堀埜社長)のが狙い。オーダーの際も、口頭での伝達から専用のシートに記入する仕組みに変更するなど、コロナ対策をあらゆる場面で打ち出す。
大戸屋は店舗のメニューを冷凍食品で
外食にとどまらず、内食の領域にまで攻めこむのが、定食チェーンの大戸屋ホールディングスだ。店舗で販売するメニューの一部を冷凍食品として開発し、5月20日から関東1都3県の22店舗で先行販売している。
看板商品の「鶏と野菜の黒酢あん」が1人前で580円(税込み)など、冷凍食品にしては少し高めの価格設定ながら、「私以上に味にこだわる職人のいる協力工場で、何度も何度も試作を重ねて作った」(窪田健一社長)と、品質の高さを強調する。実際、「想定の4~5倍の売れ行き」(大戸屋)といい、一時品切れになるなど好発進したようだ。冷凍食品なら在庫をストックしやすく、需要の拡大に応じて売り上げも伸ばしやすい。
7月からはさらに販売店舗数を拡大し、9月ごろに全店導入を予定している。インターネットでの通信販売も8月をメドに開始、今年度中にスーパーや量販店への卸売りも目論む。単なる外食企業の枠を超え、多くの販路を持つことで、withコロナの時代を生き抜く構えだ。
こうした外食企業の必死のコロナ対応のみならず、『会社四季報』では、どんな中期経営計画を描いているかなどを各社ごとに記載している。ほかにも、気になる企業の戦略がどうなっているか、ぜひ自身の目で確かめていただきたい。
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