リコー、「GAFAと戦わない」コロナ後戦略の成否 オフィスのプリント需要消失でも強気な訳

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――中小企業のITサービス導入の現状は?

中小企業の6割強はいまだにファックスで顧客とやりとりしている。日本企業の99%は中小企業で、日本の技術力をリードしているが、本業の技術以外のところでIT環境(の変化)についていけていない。それを手助けするのもリコーの役割だ。

ある中小メーカーでは、毎日の出来高をエクセルに入力して、集計している。普段からその会社に行っているリコーの営業パーソンやシステムエンジニアは、その会社にどんなアプリケーションが必要で、顧客の業務を改善できるかをよく把握している。

そうなると、GAFAのようなIT企業はリコーの敵ではなく、パートナーとなる。国内ではITサービスを手がける約100社がリコーのパートナーとなり、企業が必要とするITサービスをリコーがパッケージ化して提供している。ソフトウェアを開発するIT企業にとっても、開発した製品をリコーにどんどん売ってほしいという流れになる。

顧客の要望によってサービスを変えていく

――海外のITサービスの現状は?

国ごとに状況は異なる。ヨーロッパは、デジタル行政が発達している北欧とそうではないイタリアやスペインなどとで、必要とされるITサービスが異なる。また、アメリカは中小企業でもITリテラシーが高いところが多く、社内ネットワークの作成やITツールの導入を自前で済ませてしまうケースも多い。

したがって、日本、欧州、北米と地域に合ったサービスを整える必要がある。そのため、それぞれの地域にITサービスの開発権限を委譲していった。

――複合機とITサービスとでは、開発の考え方も変わるのですね。

複合機のようなハードは印刷などの機能がしっかりしていれば、世界のどの顧客でも使ってくれた。ただ、デジタルサービスは顧客の要望によってどんどん変えていかなければならない。

以前は世界一律のソフトウェアを使っていたが、各地域から修正要望が出ると、対応に時間がかかり、結局顧客に使われなくなっていた。複合機を販売していた社員に「これからはデジタルサービスを提供する」と言っても、簡単に変われない。日本ではデジタルサービスの売上割合を徐々に上げてきたが、ヨーロッパでも同様に増やしていきたい。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では「現場のデジタル化をどうすすめるか」「アフターコロナの経営戦略」について詳細に語っている。
劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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