――「アフターコロナ」の世界ではプリント需要がなくなることにどう対応しますか。
2021年3月期は危機対応と変革加速の年と位置づけている。良い印刷ができる機械を製造して世界に売ってきたが、それだけではなく、デジタルサービスの提供というビジネスモデルに変えていかなければいけない。
これまでもペーパーレスの流れはあり、プリンティングだけではなくオフィスのITサービスも手がけてきた。コロナによって今後3年間に起きると想定していた変化が3カ月間のうちに起きており、ITを支援するデジタルサービス会社への変貌を急がなければならない。
これまでデジタルサービスを不要としていた顧客の中には、リモートワークのために急にデジタルサービスを必要とするところも出てきた。コロナが顧客の思考を変える後押しをしている面がある。
GAFAとは戦わない
――リコーにとってのデジタルサービスはどんなイメージなのですか。
社内でも「GAFAと戦うのか」と聞かれるが、そういうわけではない。GAFAは世界のプラットフォーマーだが、われわれは中小企業に寄り添うことを目指している。
マイクロソフトのオフィス365やセキュリティーソフトなど、業務に必要なソフトウェアやアプリケーションをリコー経由で導入してもらい、中小企業のデジタル化を支援している。
2019年は「つなぐ」をキーワードに、中小企業のオフィスと製造や営業などのやりとりをサポートした。今度はそこにホーム(自宅)をつなぐ必要も出てきた。これまでプリントして紙でやりとりしていた情報がデータでのやりとりに変わる。そのやりとりをリコーがデジタルサービスとして提供していく。
2020年3月期は、国内販社のリコージャパンが過去最高益となった。ITなどのオフィスサービスが牽引し、オフィスプリントの売上高を初めて抜いた。デジタルサービス会社に変貌する自信にもなった。
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