歴史は科学ではない。基本的に文学だ--『父が子に語る近現代史』を書いた小島毅氏(東京大学大学院人文社会系研究科准教授)に聞く


--東アジアの中の日本と。

明治になって日本が生まれ変わったという認識、これはヨーロッパ風の国づくりをすることによってはじめて一人前になったというとらえ方だから、東アジアの中で日本が育まれてきていることについては足りない部分がある。むしろ見方として古い偏ったタイプ。ほかに適当な言い方がないのであえて言うと、それはある種「20世紀的」である。

寛政年間以来、日本は中国や朝鮮を下に見るような精神構造が根付いてきて、その延長線上に日清戦争、日露戦争があり、太平洋戦争につながっていく。その間に意識の変質があったとは考えていない。

--20世紀的とは。

20世紀は西洋の力が世界を制覇して、非西洋の諸国も西洋にならって国づくりした時代。その先頭ランナーが日本だった。

21世紀になってから中国とかインドとかブラジルとか、それらの国々が台頭してきているし、特に中国は自意識としてはアメリカと張り合う二大超大国なったつもり。確かに経済的にもそれなりの実力を備えている。

いまや世界は変わっているので、司馬が数十年前に思い描いていたような明治の日本のういういしさを見習おうといっても、それは21世紀に通用しない。

--明治維新の土壌はかなり前からつくられていた?

この本では書かなかったことに講話講談、心学の役割がある。みなもとの先生は自分で書物を読み、そのオーラルを通じて教養が流布。広い層へ浸透するという現象が19世紀には起きていた。

明治維新では、逆に徳川将軍による絶対体制ができる可能性もあり、いずれにせよ多くの人々が政治に関心を持ち、文化に参加していく社会が19世紀前半には生まれつつあった。

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