歴史は科学ではない。基本的に文学だ--『父が子に語る近現代史』を書いた小島毅氏(東京大学大学院人文社会系研究科准教授)に聞く


--明治維新は薩長など西南雄藩が主役になりました。

薩長土肥が目立って見えるのは彼らが明治維新の勝者になったからだ。数十年前から教養の高まりが見られ、それも19世紀前半の時点においては彼らが突出していたわけではない。日本中にそうしたところが会津、水戸(藩)をはじめいくつもあった。思想的には水戸学がリードし、薩長も水戸学、平田(篤胤)国学の影響を受けている。

--歴史は文学だとも記述していますね。

そもそも人がなぜ歴史というものを考え出したかといえば、昔のことについて書きとめた文献、あるいはオーラルなものを含めて物語、語りがあったからだ。それは語りだから、数字が羅列されているデータではない。ストーリー性を持っている。

それによって人々は自分たちの過去を認識し、さきほどの話と関連させれば、そのときにある日本を過去に投影して、物語をつくるという営みをずっとしてきた。

歴史は、さまざまなバリエーションを持っている。過去を振り返るときに、いまの時点で適切なものと見なすかどうかの違いであって、絶対的真理を追求しなくてもいいのではないか。それを象徴的に科学ではなく文学だと言っている。

(聞き手:塚田紀史 =週刊東洋経済)

こじま・つよし
1962年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。専門は中国思想史。文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「東アジアの海域交流と日本伝統文化の形成」の代表、「日中歴史共同研究」委員を務める。日本の中世・近代史をラディカルに問い直す話題作を次々に発表。

『父が子に語る近現代史』 トランスビュー 1260円

  

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