歴史は科学ではない。基本的に文学だ--『父が子に語る近現代史』を書いた小島毅氏(東京大学大学院人文社会系研究科准教授)に聞く

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歴史は科学ではない。基本的に文学だ--『父が子に語る近現代史』を書いた小島毅氏(東京大学大学院人文社会系研究科准教授)に聞く

日本史関連テーマがブームとなる中で、著者自身が「高校生のときに読みたかった」と語る本が好評だ。世界とつながる日本の「歴史」がわかる「21世紀型歴史読本」とは。

--前作『父が子に語る日本史』は江戸時代まで。この本は近現代編ですね。

高校の日本史の教科書はあらゆることを盛り込みたいがために、そのものとしては面白くない。そうではなく、読み通せる、それによって全体像がつかめるような、わかりやすい本があればいいなと思って両書を書いた。おそらく同じようなことを思っている方が読者になっているのではないか。

--近代を通常の幕末の「開国」から始めていません。

明治維新、黒船来航から始めるのではなく、70~80年さかのぼる寛政の改革の頃から書き始めた。これは思想史の研究者の間で、そういうとらえ方で近代を見直そうとの流れがあるので、それに乗った。

もう一つ、ここ数年日本史関連で書いたもの全体に共通するコンセプトだが、「日本史vs.(日本を除く)世界史」ではなくて、日本が中国や韓国とのかかわりの中で国づくりをし、歴史を育んできた、その関係を書き込んだ。

さらに言えば、日本ではない国が外にあって、その国々に対して、われわれは日本だと名乗る。だから日本史だけが孤立して存在することはありえない。

特に近現代の場合には、近代以前において先生として敬っていた中国がそうではなくなる。欧米に先生を替え、むしろ中国を蔑視するようになっていく。

その精神的なメカニズム、人々がどういう意識を持って東アジアを見てどう変わったかというのも、この本のもう一つのコンセプトにしている。

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