Jヴィレッジ除染めぐる東電と福島県の隠し事

聖火リレー開始地点に汚染廃棄物を極秘保管

Jヴィレッジは東電が建設した後に、福島県が所管する財団に寄贈されて1997年に開業した。当時、東電には福島第一原発7、8号機の増設やプルサーマル(ウラン・プルトニウム混合燃料による発電)の計画があり、福島県や立地自治体の同意を得る必要があった。こうした経緯もあり、Jヴィレッジの寄贈は、新たな原発の建設を認めることなどと引き換えにした地元への見返りではないかとも指摘されていた。

Jヴィレッジは原発事故の収束作業の前線基地になった。写真はJヴィレッジから福島第一原発に向かうバスに乗り込む作業員(2011年10月に撮影、写真:東京電力ホールディングス)

だが、その後、Jヴィレッジは苦難の道のりをたどった。2011年3月11日の福島第一原発の事故を機に営業停止に追い込まれ、原発事故収束作業の前線基地として東電が数年にわたって使用した。敷地内では原発構内の作業で汚染された車両の洗浄も行われていた。そして、2016年4月から2018年6月までの約2年を費やして、東電が敷地内の放射線量低減を含む原状回復工事を実施。再び福島県側に返還された後、2018年7月に業務を再開した。

いったん中止となったものの、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に際しては、聖火リレーのスタート地点に予定されていた。まさに「福島復興」「復興五輪」のシンボルとも呼べる存在だ。

グリーンピースの調査で高放射線量が判明

東電の広報担当者は3月23日の定例記者会見で、Jヴィレッジの復旧に際して、除染業務に必要とされる国の法令に基づく作業員の被ばく線量管理を行っていなかったことを認めた。「当社が実施したのは除染ではなく、原状回復工事。ただし、除染の効果がある」(広報担当者)。その質疑内容をとらえて共同通信が「除染せずに返還」と報道。東洋経済オンラインは4日後の3月27日に問題の経緯を報じた

Jヴィレッジで車両を除染する様子(2011年10月に撮影、写真:東京電力ホールディングス)

一連の問題が判明したのは、国際環境NGOグリーンピースによるJヴィレッジ周辺での空間放射線量の測定がきっかけだった。グリーンピースは2019年10月、Jヴィレッジ周辺で空間放射線量の測定を実施。Jヴィレッジに隣接する楢葉町の町営駐車場脇で毎時1.7マイクロシーベルトという高い空間放射線量を計測した。

グリーンピースは把握した事実に基づいて、小泉進次郎環境相や山下泰裕・日本オリンピック委員会会長、国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長などに書簡を送付。原因究明や広範囲に及ぶ徹底した除染を求めた。

当時、Jヴィレッジでは青少年によるサッカーの練習試合が行われ、駐車場には一般の市民の車が出入りしていた。

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