無能な社長を増やす「給料安すぎ日本」の大問題 「モノプソニー」をなくして経営者を鍛えよ

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モノプソニーの力が大きく働くと、規模の小さい企業が増えます。規模の小さい企業が増え、全企業の平均規模が小さくなるほど、小規模事業者を中心に有効求人倍率が高くなり、高いまま推移するはずです。実際の数字を確認すると、日本ではまったくその通りのことが起きてきました。

やはり中小企業、とりわけ小規模事業者で、モノプソニーの力が極めて強く働いていると考えることができると思います。

有効求人倍率とは企業の求人数を求職者数で割ったものなので、この数字が高いときは潤沢に職がある、すなわち良い状態だと考えられがちです。しかし実際は、有効求人倍率が高止まりしているということは、自慢すべきものではないどころか、日本の労働市場が極めて非効率な状態にあることを示しているのだと認識を改めるべきです。

実は最低賃金を上げると雇用が増える

また新古典派経済学では、賃金は労働市場の需給関係によって決まると考えるので、最低賃金を引き上げると、その分だけ最低賃金で働いている労働者が失業すると主張します。

一方で「新モノプソニー論」では、適切に最低賃金を引き上げると、最低賃金で働いている労働者の雇用は逆に増えると考えます(参考:日本人の「給料安すぎ問題」はこの理論で解ける)。

実際に日本の状況を確認すると、新モノプソニー論の示唆するとおりのことが起きていたのは明らかです。第二次安倍政権が発足した2012年から2019年の間、最低賃金は年平均22円ずつ引き上げられてきたのにもかかわらず、雇用は431万人も純増しています。

増加した就業者の内訳は、65歳以上が321万人増加で、全体の74.5%を占めます。男女別では、女性が338万人増加し、そのうち65歳以上が139万人でした。

増加した就業者に65歳以上の高齢者や女性が多いことを考えると、最低賃金で働いている人が減少していないどころか、増加したのは明らかです。

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