無能な社長を増やす「給料安すぎ日本」の大問題 「モノプソニー」をなくして経営者を鍛えよ

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日本のいわゆる有識者がよく主張している、「最低賃金を引き上げると、若い人と最低賃金で働いている人が失業するぞ」という脅しは、エビデンスのない俗説的感情論であることがわかります。

イギリスも1999年以降、最低賃金を2.2倍も引き上げてきましたが、失業率は1970年代以来の低水準を維持しています。

モノプソニーの抑止には最低賃金引き上げが有効

さて、モノプソニーの力があまり強く働かないよう制限するのに有効な政策が、適切な最低賃金の引き上げだとされています。

最低賃金が低ければ低いほど、小規模事業者が増えます。経済合理性が乏しい規模の小さい事業者でも、人件費を低く抑えられるので、存続できてしまうのです。つまり、最低賃金を低く抑え続けることは、小規模事業者にとって最大の優遇策なのです。

人材の評価と最低賃金水準のギャップは、ある意味で国が認めているモノプソニーの幅だと考えられます。実際、日本は人材の評価と最低賃金水準のギャップが著しく大きいことが確認できます。OECDのデータによると、2018年の日本の最低賃金は所得の中央値の42%しかなく、29カ国中第27位と、極めて低い水準にとどまっています。ほとんど発展途上国レベルです。

その結果、小規模事業者の数が増え、その国の生産性は低下するはずです。日本企業の小規模事業者の生産性を確認すると、大企業の41.5%にあたる342万円です。雇用者数が同じ場合、小規模事業者で働く人の比率が大きくなると、国の生産性は間違いなく低下します。

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