ネットでの住宅販売が現実味を帯びてきたワケ コロナ禍を経ていったいどのように変わるか

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次に、「ネットで住宅を販売する」ことについて。これにも大きく2つの方向性があり、1つ目はネット専用の商品によるもの、2つ目として通常の企画型、フリー設計で商談をネット上で行うというスタイルがある。

新型コロナ感染拡大抑止のため、住宅事業者は従来の住宅展示場ではなく、オンライン上での商談に注力している(筆者撮影)

前者は、通常の企画型の選択幅を極端に小さくしたもの。2000年代初頭に「坪(3.3㎡)あたり25万円台~」の商品が登場した際には、「これにより住まいづくりの価格破壊が進む」などと大きな話題となった。

標準的な延床面積40坪の場合、それ以前は1棟2000万円を超えることが普通とされていたが、その商品では1棟1000万円程度。「人生で最も高額な買い物」という常識が崩れる、と考えられたのである。

ネット専用商品の重要性が高まる気配

以降、現在までに1棟300~700万円台といったものも登場しているが、どれも成功しているとは言いがたい。何より住まいとしてのスペックが決して高くないため、多くの顧客に選ばれるものとなれていないからだ。

そうした商品を用意している住宅事業者でも、顧客からの問い合わせに対し、より利益貢献度が高いフリー設計や通常の企画型商品を紹介するケースがほとんど。つまり、ネット専用商品は「客寄せ」的な存在になっていたわけだ。

さて、そんなネット専用の住宅商品に今、転機が訪れようとしている。直近で販売(成約、受注)数が伸びている事例があるからだ。大和ハウス工業が昨年11月に発売した「ライフジェニック」がその1つである。

同社は4月15日にオンライン上で2020年3月期の決算説明会を開催。その中で芳井敬一社長は、この商品について「3月に約45件、4月に約30件、5月に約35件の成約があった」ことを明らかにした。

仮に月間40件の成約があるとして、年間であれば480件、全体としては決して多いものではない。しかし、昨年11月~今年2月には月間10件程度だったことを考慮し、「前向きに評価」(芳井社長)しているという。

この商品は、従来のネット専用商品と性格を異にしている。提案数が2225種類に及び、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)にも対応。本体は約2000万円(税込、延床面積約97㎡の場合)となっている。

ネット専用としてはこの建築費は高額だが、基本スペックの高さや同社に対する知名度、信頼度に加え、自宅で住まいづくりの検討が可能という、検討のしやすさがこの結果につながったのだと考えられる。

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