ネットでの住宅販売が現実味を帯びてきたワケ

コロナ禍を経ていったいどのように変わるか

ネットを通した住宅販売はコロナ禍を経てどのように変わっていくのでしょうか。写真中央に置いてあるのは後述するアキュラホームの案内ロボット「ゴーカンナ君」(画像:同社提供)

インターネットの黎明期から、国内ではネットによる注文住宅の受注・販売の可能性が模索されていた。以来、少なくない試みが行われてきたが、芳しい成果をあげた事例はほぼ見られず、「ネットで注文住宅を販売することはできない」と考えられてきた。

その理由は住宅を取得するということが人生で最も高額な買い物であり、顧客と住宅事業者が対面による綿密な検討、積極的な交流による信頼関係の構築をしたうえでないと、満足度の高いものとはなりがたいからだ。

ただ、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の動きが、対面商談はもちろん住宅展示場などでのイベント開催などという既存の営業手法を難しくしており、そうした状況がこれまでの常識、既成概念を覆すかもしれないと筆者は考えている。

2つのスタイルがある注文住宅の世界

まず、前提となる事項を確認しておく。注文住宅は大きく2つに分類される。1つは顧客の希望や住まい方、敷地などの条件に合わせるフリー設計。もう1つは企画(規格)型商品だ。

企画型は、建物の大きさや形状、内外観デザイン、設備仕様などを含めた一定数のプランがあり、その中から顧客がチョイスするものだ。フリー設計に比べ、比較的建築費を抑えられるというメリットがある。また、商談回数がフリー設計に比べ少なくなるため、顧客にとっては住まいづくりにあたっての精神的・肉体的・金銭的なストレスを軽減でき、住宅事業者としては生産性の向上などが期待できる。

ただ、条件が合わなければ建てられないケースもある。例えば、多世帯居住や賃貸併用といった複雑なニーズ、強いこだわりを持つ顧客ニーズには、限られた選択肢では対応が非常に難しいからだ。

もともと、戦後の大手ハウスメーカーの勃興に伴い開発、普及し、現在は中小規模の住宅事業者でも採用され、広く普及し、特に20~30代の若い顧客層から支持されている。

一方で大手ハウスメーカーは、1990年代前後からこれまではフリー設計に重きを置く経営手法に変化してきたという経緯もある。それは、経営基盤の強化のため、収益性が高いフリー設計を重視したためである。

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