宇宙でも勃発!「中国」VS「米国」覇権争いの行方

中国は月での領土確保を着実に進めている

中国の月探査機「嫦娥4号」は2019年1月3日、月の南極に近い「エイトケン盆地」への軟着陸に成功した(写真:China National Space Administration/新華社/アフロ)
近年イノベーション分野で驚異的な発展を遂げた中国。米中の対立は科学技術戦争へと発展し、世界を揺るがす最大の課題の1つとなっています。倉澤治雄著『中国、科学技術覇権への野望』を一部抜粋・再構成し、宇宙を巡る「米中新冷戦」の構造を読み解きます。

アポロ11号による有人月面着陸から50周年にあたる2019年1月3日、中国の月探査機「嫦娥(じょうが)4号」が、宇宙開発史上初めて月の裏側への軟着陸に成功した。「嫦娥4号」は着陸船(ランダー)と月面探査車(ローバー)「玉兎(ぎょくと)2号」で構成され、月の形状を撮影するフルパノラマカメラ、物質の組成を調べる分光計、浅地層の構造を調べる月探査レーダーなどさまざまな測定器を搭載している。

月面の放射線量を測る「中性子・放射線量検出器」はドイツ製、月面を飛び交う粒子を調べる「中性原子検出器」はスウェーデン製である。世界が最も注目しているのが水の存在だ。

もし相当量の水が存在すれば、将来月面に恒久的な基地を建設する際、圧倒的に有利となる。水は生物の生存に必要なだけでなく、原子力エネルギーを利用して酸素と水素に分解し、火星を目指す時のロケット燃料として使えるからである。「嫦娥4号」が着陸した月の南極付近には、氷の存在が予想されている。

2013年に世界3番目に月面軟着陸に成功

「嫦娥」は中国の神話に出てくる仙女の名前で、不老不死の霊薬を飲んで月に昇ったといわれる。中国の月探査計画は「繞・落・回」の3つのフェーズからなる。第1フェーズの「繞」は月の周回軌道に乗せること、第2フェーズの「落」は月面への軟着陸、第3フェーズの「回」は月の土壌や岩石を持ち帰るサンプルリターンだ。

第1フェーズの「嫦娥1号」は2007年10月、「嫦娥2号」は2010年10月にそれぞれ打ち上げられ、予定通り月の周回軌道に投入された。「嫦娥1号」は月の上空200キロメートル、「2号」は月の上空100キロメートルから月面の観測を行い、「嫦娥3号」の着陸点を決めるためのデータを取得した。

第2フェーズの「嫦娥3号」は2013年12月2日に打ち上げられ、同12月14日に月面軟着陸に成功した。月面軟着陸は1976年に打ち上げられた旧ソビエト連邦の「ルナ24号」以来で、中国は旧ソ連、アメリカに続き、月面への軟着陸を成功させた3番目の国となった。

「嫦娥3号」は月面ローバー「玉兎」の放出にも成功したが、月の2日目の夜、地球では約1カ月半後の2014年1月24日、走行不能となった。原因は300度にも及ぶ昼夜の寒暖差に耐えられなかったためと見られている。

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