宇宙でも勃発!「中国」VS「米国」覇権争いの行方

中国は月での領土確保を着実に進めている

「嫦娥4号」は2018年12月8日、四川省西昌衛星発射センターから「長征3号B」ロケットで打ち上げられ、2019年1月3日、月の南極に近い「エイトケン盆地」への軟着陸に成功した。

放出された月面ローバー「玉兎2号」は、2020年3月末現在、月面での探査を継続しており、走行距離は400メートルを超えた。2019年12月12日には旧ソ連の月面ローバー「ルノホート1号」が持っていた月での最長活動記録321日を49年ぶりに塗り替えた。月では「昼」と「夜」が約14日周期で繰り返す。

太陽があたらない長い「夜」の間、「玉兎2号」はじっと身を潜めている。月は常に「顔」を地球に向けているため、地球から月の裏側を見ることはできない。月が地球を回る公転周期と月の自転周期が一致しているためだ。

月の裏側の「嫦娥4号」にコマンドを送り、地上でデータを受信するには、月と地球を同時に見通せる中継ポイントが必要だ。「ラグランジュ点」と呼ばれるこのポイントに、中国は「鵲橋(じゃっきょう)」というデータ中継衛星を投入、月の裏側と地球を通信で結ぶことに成功した。

地球の引力、月の引力、それに衛星の遠心力などが釣り合うラグランジュ点は5カ所あり、「鵲橋」は地球から約44・6万キロメートル、月から6・2万キロメートルの第2ラグランジュ点に投入された。「鵲橋(かささぎの橋)」は「天の川」を挟んで、年に一度七夕の日に再会する彦星と織姫星をつなぐ橋の意だ。

厳しい環境下の月面で植物栽培実験も

「嫦娥4号」では月面での植物栽培実験が行われた。月の表面は厳しい環境にある。夜間の温度はマイナス190度、日中は100度以上と温度差は300度近くに達する。また月面には大気がないため、太陽の熱放射や太陽風に晒さらされやすく、飛び交う放射線や粒子が多い。

栽培実験にはアルミ合金製の密封容器が使われ、光合成のもととなる太陽光は光ファイバーで容器に取り込まれた。ジャガイモ、綿花、シロイヌナズナ、アブラナなどの種が、水、栄養液、酸素、蚕の卵、ミバエの卵、酵母菌とともに容器に入れられた。さながら「ミニ生態圏」だ。

着陸から12日後、中国政府は「綿花の発芽が確認された」と発表したが、2日ほどで枯れてしまった。「月で発芽の綿花、もう枯れた」(CNN)、「綿花は一夜で枯れていた」(ニューズウィーク)など、メディアの評価は厳しかったが、ジャガイモは食料、アブラナは食用油と野菜、蚕や綿花は衣類の原料となるなど、実は月面基地建設に向けた周到な実験だったのである。

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