第2は、日本の組織における事務処理やデータ処理が、IT(1980年代以降に発達した情報通信技術)に対応したものになっていないことです。
PCやインターネットを導入しても、クラウドの利用には消極的で、自社のサーバによって企業内LAN(Local Area Network:社内ネットワーク)を構築しています。
このため、在宅勤務をするためには、VPN(Virtual Private Network)を経由せざるをえず、ハッカー攻撃に脆弱な仕組みになっています。
それどころではありません。多くの企業は、いまだに「紙」中心の事務処理を行っており、デジタルデータへの移行が進んでいません。多くの企業が、コピー機とファックスに頼っており、メールとPDFで事務処理を行うようになっていません。これでは、リモートワークなど、望むべくもありません。
また、ハンコ文化から脱却できておらず、在宅勤務になっても、契約書や官庁に提出する書類に印鑑を押すだけのために出社しなければならない場合が多いといわれます。
紙中心主義もハンコ主義も、企業の内部であれば改革ができますが、社外との関係において続けざるをえない場合が多いのです。
日本の低生産性の原因をはっきりと示した
とくに問題なのが公官庁です。紙とハンコ主義の権化のような存在です。
「メールにPDFや写真を添付するのでは駄目。PCのデータを印刷するか、元の書類をコピーして郵送せよ」と言われます。プリンタもコピー機も、ずっと前にご用済みにしてしまったので、どうしたらよいのかと途方に暮れてしまいます。
「10万円給付金の申請はマイナンバーを用いてオンラインでできる」と言ったものの、いざ始めてみると、住民基本台帳との照合のために市町村で著しく手間がかかる作業を行わざるをえず、結局のところ、「オンラインより郵便のほうが速い」という、信じられないような事態になってしまいました。
この騒動は、日本の低生産性の原因がどこにあるかを、はっきりと示したのです。
コロナは、日本が抱える問題の本質を暴露したことになります。
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