では、なぜテレワークが進まないのでしょうか?
これに関しては、「テレワークの最新動向と総務省の政策展開」(2019年5月31日)が「テレワークを導入しない理由」の調査結果を示しています(元調査は、平成29年通信利用動向調査、2018年5月25日)。
結果は、「テレワークに適した仕事がない」が74.2%でトップ。
そのほか、「情報漏洩が心配だから」(22.6%)、業務の進行が難しいから(18.4%)、導入するメリットがよくわからないから(14.7%)、社内のコミュニケーションに支障があるから(11.3%)、社員の評価が難しいから(8.8%)などとなっています。
これをみると、テレワークに対する理解が十分でなく、また、日本企業における仕事の進め方が導入の障害になっていることがうかがえます(この点については、後述します)。
異常に低い日本の在宅勤務率
「Global Remote Working Data & Statistics、Updated Q1 2020」は、世界各国のテレワークの状況を示しています。
「柔軟な仕事場のポリシーを採用する企業の比率」と、「柔軟な仕事スタイルがニューノーマルになると考える人々の比率」という2つの指標で評価をしています。前者は、在宅勤務企業を認める企業の比率であり、後者は、「在宅勤務が望ましいと考える人々の比率」であると解釈することができるでしょう。
前者の指標でみると、日本は著しく遅れています。ドイツ80%、アメリカ60%などに比べて、日本は30%をわずかに上回る水準でしかありません。ここで取り上げられている国は、欧米諸国以外に中国、インド、メキシコなどがありますが、いずれも50%以上です。日本の低さは、異常なほどです。
他方、後者の指標でみると、日本は80%であって、最も高い水準です。ドイツ、フランスは68%、アメリカは74%でしかありません。
つまり、日本では、「労働者が在宅勤務を望んでいるのにもかかわらず、企業がそれを認めない」ということになります。
テレワークを導入できるかどうかは、業種や仕事の内容によって異なります。例えば、研究開発的な仕事はテレワークを導入しやすいのに対して、対人サービス業や製造業では、導入は容易ではありません。
しかし、日本とドイツを比べると、産業構造にはさほど大きな違いはありません。
それにもかかわらず上のような結果となるのは、日本の企業が何か深刻な問題を抱えていることを示唆しています。
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