日経平均の「新しい相場」がすでに始まっている 目先は一服でももっと長い視点で見るべきだ

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最後の3つめの「株式そのものへの見直し」は、今まで批判の的だった「内部にカネを貯め込む日本企業」が「コロナに強い金持ち企業」として配当利回りに期待する投資家がさらに増えてきた。

このように見ていくと、株式市場が3月から驚異の戻りを示した理由は、まだ全く変わっていないといえそうだ。

すでに全く新しい相場が始まっている

直近では、売り方の一定の買い戻しが終わり、一方で、大きく上昇したため、買い方にも達成感がある。目先は若干の一服現象が起きると思っている。ただ、NYダウの11日の1861ドル安で、日経平均は一気に25日移動平均に接近した。このことで、逆にその調整時間が短縮したと思われる。

さらに、今回はもっと大きな流れで考えて見たい。2012年末からスタートしたアベノミクス相場をチャートで見ると、2018年1月、10月、2019年12月、2020年1月と4回の2万4000円抜けがあったが、それが上値の限界だった。

2019年12月~2020年1月を1つの高値と見ると、2018年~2020年にわたる強固なトリプルトップ(3つの天井)が見て取れる。つまり、それまでの日本の相場エネルギーでは、2万5000円を付ける力はなかったことになる。

そして今回のコロナショックで、2012年の日経平均8000円台から2020年1月の2万4000円台への「3倍化相場」が終わり、今度は2020年3月をスタートとする新しい相場が始まったと考えられまいか。

AI(人工知能)、ビッグデータ、5G、IoTなどを主軸とする「第4次産業革命」は、コロナウイルスによって、それまでよりも何倍も加速化しつつ、世界を変革していることは明白だ。

特に日本においては、世界のトップ水準だと思っていたハイテク技術が、実は遅れていたこともコロナによって露呈した。これから生き残りをかけた日本企業のリベンジを織り込む形で、大きな2段上げが始まると考える。

厳しい環境の中で、上場企業各社が相次いで出した中期経営計画にその意思が読み取れる。次の新しい相場では、超えられなかった2万5000円など、単なる通過点に過ぎないと思っている。エンジンは、前述した「変わらない3つの理由」だ。市場はしばらく2段上げ相場のスタート地点を探すことになると考える。 

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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