日経平均の「新しい相場」がすでに始まっている 目先は一服でももっと長い視点で見るべきだ
まず、下げすぎの反動高は、「全値戻し」で解消している現在、「もう株高の原因にはならない」とも言える。だが、反動高のインナーマッスルとも言うべき取り組み(需給)は、今でも全く変わっていない。裁定取引の売り残は、過去最高レベルで12日のメジャーSQ(先物とオプションの清算が重なる日)を迎えた。
いずれまた「買い戻し」の局面が到来する
あえて解説すると、裁定取引とは先物と現物の鞘を取る投資手法である。例えば先物が割高になっていたら、先物を売ると同時に株価指数を構成する銘柄を構成比どおりに買えば、その差額で収益を得ることができる。逆に先物が割安だったら、先物を買って同時に現物を借りて構成比どおりに売りをする手法で、機関投資家が主に使う。理論上の収益を現実にするのがSQ(Special Quotation、特別清算指数)だ。
コロナショックは、百戦錬磨の相場巧者でも多くの持ち株を売ったほどだ。また、戻り過程でも投資家は売り続けたため、先物が常に割安状態になり、先物を買って現物を売る取引が続き、売り残が過去最高レベルになった。
さて、先物はSQで清算されるが、現物はSQで買い戻さなければならず、これが株高の原因となる。直前(6月5日)の売り残は2兆3358億円だが、かなりロールオーバー(現物を買い戻さずに先物の期先を売る)が進み、売り残は先送りされたと思われる。つまり「下げすぎの反動高」はまだ終わっていないと言える。
2つめの大型経済対策の規模については言うまでもないが、対策手段の邪道として批判の多かった「ヘリコプターマネー」(文字通り国民にお金をばらまく)は、今や基本政策になった。実質的に財政ファイナンス(日銀の国債直接引き受け)やMMT(現代貨幣理論、自国通貨を持つ国はある条件下で国債をいくら発行して良い)は曖昧(もはや事実上の容認のようなもの)になり、エコノミストも、コロナの影響で財政規律を今うんぬんする時ではないと思っている。
直近では、1~3月期GDP改定値は上方修正され、コロナショックによる日本の実質GDPの毀損額は当初予想よりは軽減された。だが、資金供給の蛇口は開け広げられたままだ。
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