五木寛之「コロナ後は三散の時代がやってくる」

再び注目「大河の一滴」著者が語る今後の生き方

五木寛之さんに、新型コロナウイルスによってこれからの社会が受ける影響について伺いました(撮影:岡本大輔)
世の中は少しずつ新しい日常に移行しつつある。とはいえ多くの人が手探りだ。これからどうなるのか。どう生きていけばいいのか。混乱期の生き方のヒントが書かれ、当時もベストセラーとなり、今再び注目を浴びている『大河の一滴』(幻冬舎文庫、1999年刊)の著者・五木寛之さんに話を聞いた。前後編でお届けする。

夜型の僕が朝型人間に変わった

――20年以上前に五木さんがお書きになった『大河の一滴』を、再び多くの人が手にとって読んでいます。日本では緊急事態宣言が解除されたとはいえ、まだ大勢の人が非常に不安な思いで毎日を過ごしています。五木さんは、この新型コロナウイルスがこれからの社会に与える影響をどのようにご覧になっていますか。

僕自身の仕事の関係から言うと、3月から9月までに入っていた講演や講義など12件がすべてキャンセルになりました。これまで月に3、4回、地方に出かけて話をする仕事があり、それが一種の健康法でもあったんだけど(笑)、この新型コロナウイルスの影響ですべて飛びました。この50年間でこんなことは初めてですね。

自分の生活スタイルも一変しました。これまで僕は夜行性の人間だったんですよ。だいたい夜の12時ぐらいから朝6時まで仕事をし、何かをつまんだりして7時に寝る。起きるのは、午後の3時、4時。そういう生活を何十年も続けていたんだけども、それが変わったんです。

今は、朝7時半か8時には必ず目が覚める。それで起きて朝食をとり、近くの公園をブラブラ歩く。帰ってきて風呂に入り、本読んだり仕事をしたりという生活です。

行きつけの食堂に新聞がそろっているから、この10年くらいほとんど読まなかった新聞にも目を通すようになりました。それも朝日、毎日、読売、産経、日経、東京新聞と6紙読んで、時間が余るとスポーツ紙も読む。読んだら結構面白い。こんなふうに、もうすぐ88歳になるところで、生活が大転換したわけです。

――朝型に変わったのはなぜでしょうか。

コロナ以前は、夜中の12時に街に出ても、やっている店がいくらでもあったでしょう? 僕は、朝の3時、4時のジョナサンとかデニーズのようなファミレスを愛用していたんです。

以前はあるホテルの「トゥエンティー・フォー」という、24時間営業のカフェレストランにもよく行ってました。今は閉じてしまったけれど、昔、六本木の青山ブックセンターは明け方まで営業していたんですね。夜型人間にとって、夜はパラダイスでした。

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