視界不良の原油相場、1バレル50ドルの「壁」 OPECプラスは原行の大規模な減産を1カ月延長

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OPECプラスの減産計画は段階的にその量を減らしていく計画だが、目論見通り進むのか(写真:ロイター/Dado Ruvic/Illustration)

原油需要の先行きが見えない中、ひとまず産油国は原油価格の”下支え”に足並みをそろえた。

サウジアラビアを中心とするOPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの産油国で構成するOPECプラスは、6月6日のテレビ会議で現在の第1段階(2020年5~6月)となる協調減産の1カ月延長を決めた。第1段階は日量約970万バレルで、世界の原油生産量(2018年)の約1割に相当する大規模な減産が延長される。

原油価格の急落を受けて2020年4月に決めた計画は、日量970万バレルの減産を実施した後、段階的に減産幅を縮小する方向だ。当初は2020年7~12月は770万バレル、2021年1月~2022年4月まで580万バレルの減産を行う予定だった。6月会合は、コロナ影響による需要減などを踏まえて、この減産幅をどう調整するのかが最大の焦点だった。

足元は40ドル近辺まで回復

原油価格は新型コロナウイルスの感染拡大による経済停滞などが要因となって大きく値を下げ、4月20日にはニューヨーク市場の原油先物のWTIが1バレル=マイナス37.63ドルという前代未聞の値をつけた。だが、5月に入ってからは各国で停滞していた経済活動が一部再開し始めたことなどから、需要が回復して足元は40ドル弱で推移している。

それでも需要がコロナ前の水準に戻ったわけではない。当初の計画通りに7月から減産量を770万バレルに減らせば需給が緩み、原油価格を再び押し下げることになりかねない。そのため、第1段階の減産をどこまで延長するかが注目されていた。結果的として、大幅な延長は見送られ、もう1カ月の延長という形で落ち着いた。

ある石油業界関係者は「今回の1カ月延長は、サウジがかなり譲歩した結果だったのでは」と指摘する。

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