視界不良の原油相場、1バレル50ドルの「壁」 OPECプラスは原行の大規模な減産を1カ月延長

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協調減産の1カ月延長を決めたOPECプラスだが、今回の会合後の声明では異例ともいえる内容を盛り込んだ。2020年4~5月の減産量が割り当てに満たなかったところには、7~9月に不足分を埋め合わせるように求めることを明記したのだ。具体的な国名は記していないが、減産実績からみるとイラクやナイジェリアであることが分かる。

定めた減産を守らずに生産を続けている産油国は、OPECプラスの協調減産による価格回復に「ただ乗り」している格好になる。それは許さないと内外に示した形だ。

これについて、丸紅経済研究所の村井美恵シニア・アナリストは「初めての試みでOPECプラスが厳しい姿勢を示した。だが、イラクやナイジェリアは情勢が不安定。(不足分の埋め合わせを含めた減産の)100%の遵守は厳しいだろう」と指摘する。

2020年後半に需要回復なるか

6月9日にアメリカエネルギー情報局が発表した最新の予測によると、世界の原油需給は2020年7月~9月を底に、需要が回復していく見通しが示されている。だが、第二波となれば世界の経済が再び停滞し、原油価格の下押し圧力が再び高まる。

今年3月に価格が下落した局面では、サウジとロシアの意見が一致せず、協調減産が決裂。サウジが逆に増産を打ち出すという異常事態に発展した。1カ月の減産延長が終わった後、原油価格はどこまで回復しているのか。ひとまず平穏を取り戻した原油相場はなお波乱含みだ

大塚 隆史 東洋経済 記者

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おおつか たかふみ / Takafumi Otsuka

広島出身。エネルギー系業界紙で九州の食と酒を堪能後、2018年1月に東洋経済新報社入社。石油企業や商社、外食業界などを担当。現在は会社四季報オンライン編集部に所属。エネルギー、「ビジネスと人権」の取材は継続して行っている。好きなお酒は田中六五、鍋島。

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