電通に丸投げ、持続化給付金事業に疑惑続々 なぜサービスデザインが落札することができたのか

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野党議員の求めに応じて国が開示した4月14日実施の「持続化給付金事務事業」入札調書によると、外資系コンサルティング会社のデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社も入札を行っている。

持続化給付金事務事業の入札調書。デロイトを下して、サービスデザイン推進協議会が落札した(編集部撮影)

ここで注目すべきは「等級」だ。企業の規模や対応力を示す入札資格の等級はデロイトがA、サービスデザインがCだった。国民民主党の斉木武志衆議院議員が政府から取り寄せた資料(競争参加者資格審査事務取扱要領)によると、等級Cの企業が入札に参加できる事業規模は300万円以上1500万円未満(Aは3000万円以上)。

しかし、経産省が「特に必要があると認める場合」は入札に参加できるという例外があり、巨額事業の入札でデロイトに競り勝った。

700億円を超す持続化給付金事務事業の落札率には不可解な点が残る。予算額776億円に対し、サービスデザインの落札率は98%超の764億円(税込み)。一般競争入札の趣旨は、企業間で価格競争をさせるところにある。事業費の抑制で、税金の無駄を省けるからだ。国会でこの問題を追及してきた立憲民主党の川内博史衆議院議員は「官製談合の疑いが極めて強い」と指摘している。

経産省に対して価格の話しをしたのか

6月8日の会見で平川氏は、入札前に経産省から2回のヒアリングがあったと説明したが、「経産省から価格の話はなかった」としている。サービスデザインから経産省に入札価格の話を振ったのかと問うと「わからない。ヒアリングしてみる」とした。

実は、事業承継を補助する事業(平成29年度補正予算)についても、中小企業の事業承継を支援してきた全国商工会連合会と入札で競い、サービスデザインに軍配が上がっている。

なぜ、二十数名しかいない社団法人が国の事業を高い確率で落札できるのか。疑われるのは経産省との距離の近さだ。6月8日の会見ではサービスデザインの「定款」に関して質問が集中した。

写真右がサービスデザイン設立時(2016年5月)の定款。電通、パソナ、トランスコスモスの名前にあった。2016年12月に制定された現在の定款(左)は、従前の第48条から第50条がなくなった(編集部撮影)

設立時(2016年5月)の定款のPDFファイルでプロパティを見ると、作成者名は「情報システム厚生課」とある。これは経産省の内局組織だ。だが、平川氏は「定款を作ったのは自分」とした上で、経産省が設立に関与した事実はないと否定。作成の経緯をさらに問われると、「残念ながら電通を退社している。当時使っていたコンピュータが手元にないため、詳細はわからない」とはぐらかした。会見を開いたものの、その説明には釈然としない部分がいくつも残った。

梶山弘志経産相は、サービスデザインを通じた持続化給付金事業の不透明な再委託について、外部専門家で検査する意向を示した。疑惑の解明はまだ時間がかかりそうだ。

野中 大樹 東洋経済 記者

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のなか だいき / Daiki Nonaka

熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年に東洋経済新報社入社。週刊東洋経済編集部。

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