「舞台俳優・監督5万人」仕事が再開できない訳 アメリカでは劇場再開のメドが立っていない

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マコールと同協会のケイト・シンドル会長は、全米のいかなる場所であれ、組合員の職場復帰を認める状況は整っていないと述べた。協会は信頼に足る精度の検査が存在しないと考えており、これも職場復帰を認めない理由の1つになっている。

組合員の職場復帰にはまず「全米で展開できる安全基準を完成させなければならない」とシンドルは述べた。「組合員はそれぞれ、(仕事先の劇場で)手の消毒液を増やすとか、共同のコーヒーポットや冷水機を置くのをやめるとか、洋服掛けに個人専用のハンガーを用意するといった感染防止のためのプランを提示されることになるかもしれない」。

「それが安全性向上に役立っているかどうかについて、組合員がその場で評価を求められることになると思う」とシンドルは述べた。「だが実際のところ、それは私たちの専門分野ではない」。

俳優は舞台の上でも楽屋でも密な状況

演劇業界は観客のことばかりに気を取られ、俳優の安全についてはあまり議論していない――協会幹部たちはそんな懸念も表明した。俳優はしばしば、舞台の上でも楽屋でも非常に「密」な状況で働かされている。

「私の見たところ、劇場をめぐる議論はほぼすべて、観客が快く劇場に来られるようになるのはいつかという点に集中している」とシンドルは言う。「人々の安全を守りつつストーリーを語ることを可能にするというのはなかなか難しい」。

またシンドルは、「誰かすごい演出家が出てきて、アーサー・ミラーの戯曲を通じてコロナ後の時代を生きることとは何かを表現し、いくつもの賞を取る日がいつか来るはずだ。俳優たちはマスクと手袋を着けるだろう」と述べた。「だがマスクや手袋なしでもみんなが安全でいられるようにしたいのだ」。

同協会の懸念のために劇場の再開がどれほど遅れるかはわからない。というのも、再開予定はそもそもかなり先だからだ。多くの州ではまだ劇場での公演は認められておらず、ブロードウェーの商業プロデューサーたちを含め、全米のプロの劇団・劇場は来年初めまで再開はないだろうと考えているからだ。

(執筆:Michael Paulson記者、翻訳:村井裕美)
(c) 2020 New York Times News Service

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