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岐路に立つEUは建国直後のアメリカに似ている 今ブームのハミルトンがEUに与えるヒント

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  • 田中 理 第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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今の欧州に置き換えれば、新型コロナウイルスの感染拡大という加盟国の制御不可能な事象によって生じた政府債務の膨張である以上、一国にその責めを帰すのではなく、EU全体で財政負担を分かち合うという復興基金の創設案は、まさにハミルトンが展開した州債引き受け案に相当する。当時のアメリカで州債引き受けに反対した南部諸州が、今の欧州における規律重視の北部諸国、州債引き受けに賛成した北部諸州が、財政難に苦しむ南欧諸国に当たるだろう。

「晩餐会の取引」でアメリカが分裂の危機を乗り越え、より統一的な国家建設に向かう契機となったように、今回、復興基金の創設で歴史的な妥協が実現すれば、それはEUが財政統合に向かう第一歩となる可能性を秘めている。無論、1790年の妥協の後も連邦派と反連邦派の対立が長く続いたように、欧州の財政統合が一足飛びに進むことは望めない。

ハミルトンの功績は改めて見直され、一大ブームに

なお、公債引き受け案を主導したハミルトンは日本であまり馴染みのない人物だが、観劇好きの方は2016年のトニー賞で史上最多の11部門を受賞した大ヒット・ブロードウェイ・ミュージカル「ハミルトン(原題:Hamilton – An American Musical)」と聞けばピンとくるのではないだろうか。

非嫡出子として生まれ、独立戦争で頭角を現し、初代財務長官として、アメリカの憲法、政治制度、貨幣、財政、金融制度、産業政策の基礎を築き、最後は決闘で命を落とした波乱万丈の人生を描いた物語は、来年にも映画化が予定されている。

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