「ごくせん」「野ブタ」人気に見えたテレビの矛盾 10年以上前の再放送ドラマが活況呈す5つの訳

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親にとっては懐かしく、子にとっては新しい。親は「人気があったドラマだから」と子に勧めやすく、子は「人気があったドラマなら、まあいいか」と親の勧めに乗りやすい。親は自分が見ていたドラマを子どもがどう感じるのか知れるし、子は最近ほとんど見られないジャンルのドラマを見られる。それぞれメリットがあるうえにそろって自宅にいるため、親子視聴のハードルは低く、共通の話題として格好のコンテンツとなっているのです。

このところ、親は刑事、医師、弁護士などのドラマ、子は恋愛リアリティショーやYouTubeなどと嗜好が分かれ、親子視聴が難しい状況が続いていました。それだけに親子視聴のしやすいひと昔前のドラマ再放送は有意義なのですが、それは裏を返せば「普段から親子視聴できるドラマが少ない」という不満を感じてしまいます。

ひと昔前のドラマが支持を集めている4つ目の理由は、一度見たことがある作品はSNSへの書き込みにフィットしやすいから。ジブリ映画の再放送や、劇場での応援上映がそうであるように、「ストーリーやキャラクターを知っているから同じタイミングで盛り上がれる」ことが魅力です。

最近、夢中になったり語り合うドラマがない証拠?

基本的に過去のドラマは、作品のファン同士がつながり、熱く語り合う機会がないため、長い歳月を経た再放送への喜びはひとしお。しかも放送当時は、まだSNSがなかったため、そのドラマについて書き込むのは初めてであり、「このシーンいいよね」「やっぱりみんなそう思っていたんだ」などと実感し、楽しさを共有できます。ただ、ここでもやはり、「最近はこれくらい夢中になったり、熱く語りたくなったりするドラマはないよね」というコメントにつながっていました。

ひと昔前のドラマが支持を集めている5つ目の理由は、再放送にこぎつけた努力が視聴者にも伝わっているから。再放送ドラマの大半が2010年代に放送されたもので、ひと昔前の作品が少ないことは、多くの視聴者が気づいています。

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