「ごくせん」「野ブタ」人気に見えたテレビの矛盾 10年以上前の再放送ドラマが活況呈す5つの訳

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ひと昔前のドラマが支持を集めている2つ目の理由は、人気俳優が若かったころの姿を見て楽しめるから。実際に「愛していると言ってくれ」の豊川悦司さんと常盤貴子さん、「ごくせん」の仲間由紀恵さんと松本潤さん、「野ブタ。をプロデュース」の亀梨和也さんと山下智久さんには、「若い!」だけでなく、「メインキャストにふさわしいかっこよさや、かわいらしさを感じる」などの好意的なコメントが散見されました。「まだ実績が少ないころから際立っていたからこそ、現在のように成功できたのだろう」とつじつまを合わせるような感覚になれることも、再放送ドラマの醍醐味なのです。

また、ひと昔前のドラマは学園モノが多かったこともあってイキのいい若手俳優の活躍が目立ちますが、刑事、医師、弁護士が多い最近の作品は中堅・ベテラン俳優が中心。リスク回避の意味もあって若手の抜擢が少なく、業界内で「視聴率を獲れる」と言われている一部の俳優にオファーが集中していることも含め、ここにも視聴者の不満が感じられます。

新たなスター俳優が生まれない理由

たとえば1990年代後半、TBSは常盤貴子さんを「愛していると言ってくれ」のヒロインに抜擢したあと、「真昼の月」(1996年)、「ひとり暮らし」(1996年)、「理想の結婚」(1997年)、「最後の恋」(1997年)、「めぐり逢い」(1998年)、「美しい人」(1999年)、「ビューティフルライフ」(2000年)と主演やヒロインに連続起用しました。

かつてはこのように若手俳優をスターに育て上げる形が多かったものの、現在ではほとんど見られません。だから、なかなか新たなスター俳優が生まれず、「各局持ち回りのように中堅・ベテランの主演俳優を共有している」という印象を与えがちなのです。

コロナ禍で世界が暗いムードで覆われているだけに、若手俳優たちから元気をもらえる作品が支持されやすいのは当然なのかもしれません。まだまだ不安な状況が続くだけに、24歳で『GTO』の主演を務めた反町隆史さんのように、画面から元気があふれ出そうな若手俳優を抜てき・育成することが望まれているのではないでしょうか。

ひと昔前のドラマが支持を集めている3つ目の理由は、「STAY HOME」の推奨にもとづく親子視聴に最適だから。

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