喋りは上手いのに「営業ベタな人」に欠けた視点 マシンガントークは「お客の反発を買う」だけ

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営業で「しゃべりすぎ」は失敗の元(写真:maroke/PIXTA)
喋りが上手くても「営業がヘタな人」の欠点とはなにか? 弁護士の谷原誠氏による新刊『7タイプ別交渉術』より一部抜粋・再構成してお届けする。

「自分は交渉が苦手だ」と考えている人は、得意だと考えている人より多いのではないかと思いますが、その理由として「私は口ベタだから」とか「自分は気が弱いもので」「相手に強く言えない」というのをよく聞きます。

たしかに「交渉がうまい人」と聞くと、立て板に水のようにペラペラ話し、強気で自分の意見を主張して、相手を圧倒する人というイメージがあります。

口ベタな人や気弱な人は、セールスパーソンのマシンガントークに押し切られて、つい品物を買ってしまったり、ビジネスの交渉でもほとんど発言することができず、相手の要求どおりの内容で合意させられてしまったり、家庭では妻の言いつけにいっさい逆らえず、小さくなっていたりする人もいるかもしれません。

なぜ「強気な営業スタイル」はダメなのか

では、口ベタな人や気弱な人が交渉上手になるには、そのような自分を捨て、饒舌で強気な人に変身しなければならないのでしょうか?

口が達者で、強気で反論や批判などを気にせず、自分の意見をガンガン言えるような人であれば、交渉に対してコンプレックスを持ってはいないでしょう。

そもそも、本記事に興味を抱くようなことはないかもしれませんし、そういう人は、そのまま自分のスタイルで交渉をしていくのでしょう。しかし、相手の事情に配慮せず、とにかく強気で押す交渉は、相手から反感を持たれて、交渉が決裂しやすいという欠点があります。また、相手が条件をのんでくれたとしてもイヤイヤであり、悪感情を持たれることも多いでしょう。

1回限りの交渉ならいいかもしれませんが、継続的な取引関係や家庭内など、今後もつき合っていく間柄の場合には、信頼関係を悪化させてしまうこともあるでしょう。

交渉術に関する古典的名著『ハーバード流交渉術』(フィッシャー&ユーリー、金山宣夫・浅井和子訳、三笠書房)では、このような強気で押す交渉方法を「ハード型交渉術」と呼んでいます。ハード型交渉術の特徴としては、交渉相手を敵と見なし、勝利を得ることを目的としていることです。

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