荷物激増の配達員たちが何とかパンクしない訳 宅配ドライバーの告白、コロナ禍の意外な恩恵

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緊急事態宣言が解かれて世間は徐々にではあるが、「通常」を取り戻そうとしている。そしてその「通常」とは宅配業界では、不在や再配達などの非効率な日常をあらわしている。

「また不在や再配達が増えてくる……」

という言葉をポロッと漏らしたドライバーもいた。

だが、以前のような日常には戻らないというドライバーもいる。第2波、第3波がいずれ来るとささやかれているからだ。

この新型コロナ禍により、直接顔が見えない配達が続いた。相手の温度や空気を読み取るような、第六感を刺激するものが省かれたのだ。世間で浸透しつつある、オンラインによる会話や会議をするように、対面ではなくネットで指定や指示をするリモート的な配達が定着するかもしれない。

東日本大震災では、支援する側とされる側だったものが明確であったが、今回は違った。みんなが支援を求める構図になっていた。

「頑張ろう」という活気はなく…

多くのドライバーが感じたことがある。

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東日本大震災のときのような「頑張ろう!」という活気はなく、感染を恐れているせいか息を潜める雰囲気が漂っている、と。

「私自身がマスクして走って酸欠気味なこともあり、脳に酸素がいっていない分、そういう考えになっているかもしれませんがね」と言って苦笑いで答えてくれたドライバーもいた。

宅配ドライバーは、この新型コロナ禍の配達をきっかけに、コミュニケーションという『間』が省かれ、ただの配達マシーンになってしまい、街の見守り隊のような存在ではなくなってしまうかもしれない。

二階堂 運人 物流ライター

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にかいどう かずと / Kazuto Nikaido

建設業・広告業・不動産業を経た後、最大手宅配便会社に勤務。宅配ドライバーとして集配に携わり、14年の勤務を経て退職。宅配業界で得たネットワークをもとに宅配業界の現状、未来を現場の視点から発信し続ける。現在、モノから人に運ぶものを変え、タクシードライバーとしても世間のつぶやきを収集中。運輸、物流の底からの視点で世の中の動向などを伝えている。

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