住宅リースバックがにわかに活気づいている訳 自宅をいったん売却して賃貸する資産活用法

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この住宅融資保険をリバースモーゲージにも適用できないかどうかを住宅金融支援機構に確認したが、「法律では資金使途が住宅に限定されており、一般的な生活資金を提供するリバースモーゲージなどには適用できない」と回答。資金使途の拡大の可能性についても「もともとの法律の趣旨が、住宅の建設等に必要な資金の融通を円滑にするのが目的であり、資金使途を広げるのは難しいのではないか」との見解だった。

リースバック保証協会が始動

今年1月、一般社団法人リースバック保証協会が設立された。国土交通省が2020年度予算にリースバックの調査研究事業を盛り込むことになり、住宅局住宅政策課からヒアリングを受けたハウスドゥが国への要望を取りまとめる業界団体が必要と判断して準備した。代表理事にはハウスドゥの冨永氏が就任したが、まだ本格的な協会活動は始まっていない。

国交省では現在、調査研究事業の委託先を選定中で、リースバック市場の状況把握もこれから着手する段階だ。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行で、生活資金に困窮した高齢者を中心に、今後はリースバックの利用が拡大することも見込まれる。

これまでにリースバックの利用件数も多くはないので、何らかのトラブルが発生したといった話は聞こえていないが、リースバックの賃貸借契約はほとんどが2~3年の定期借家契約となっている。賃貸契約更新は何度でも可能で、自宅の買い戻しもできるというが、契約更新時に条件見直しなどがどのように行われるのかといった問題もある。

リースバックの買い取り条件も、ハウスドゥでは現時点での市場価格の7割を基準にしているが、これも事業者ごとに確認する必要があるだろう。

一方、事業者にとっては、今後、急速に高齢化・人口減少が進むなかで、リースバックやリバースモーゲージの需要が拡大すれば、不動産価格変動リスクの増大にどう対応するかが重要な課題になるだろう。65年前に国が住宅ローンの元金回収を保証するために住宅融資保険法を制定したように、個別の事業者だけでカバーするのは難しいのではないか。

ハウスドゥが業界団体名をリースバック保証協会としたのも、業界全体で不動産価格変動リスクを保証する仕組みをつくりたいとの思惑があるのかもしれない。住宅金融支援機構のリ・バース60も、ノンリコース型を投入したとたんに利用件数が増えたように、住宅・宅地資産を有効利用するための政策も必要だろう。

千葉 利宏 ジャーナリスト

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ちば・としひろ / Toshihiro Chiba

1958年北海道札幌市生まれ。新聞社を経て2001年からフリー。日本不動産ジャーナリスト会議代表幹事。著書に『実家のたたみ方』(翔泳社)など。

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