住宅リースバックがにわかに活気づいている訳 自宅をいったん売却して賃貸する資産活用法

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リースバックの手法は不動産業界では以前から利用されてきた。1991年のバブル経済崩壊後に欧米から不動産証券化の手法が導入され、資金繰りに困った企業が含み益のある本社ビルなどの不動産を投資家に売却して資金を調達、そのまま賃貸ビルとして借りるという方法である。1997年のゼネコン危機では、大成建設が本社を置く東京・西新宿の新宿センタービルの持ち分を売却、現在も賃貸のまま利用している。

その手法を個人住宅にも適用し、自宅を売却した後も住み続けることが可能な商品として事業化。病気や高齢者施設への入居などで、まとまった資金が必要な高齢者を中心に利用者を増やしてきた。リバースモーゲージのように申し込み時点で55歳以上といった年齢制限はかかっていないが、利用者の7割は高齢者で、残りは2006年の貸金業法の規制強化で資金繰りに困った個人事業主が多いという。

入居者がいつ退去するかわからないリスク

スター・マイカは、賃貸で運用中のマンションを投資家などから買い取り、入居者が退去した後、リノベーション(大規模修繕)して売却するビジネスモデルで、買い取り時の価格競争を回避する戦略を取っている。顧客からの要望で以前からリースバックにも対応しているが、「自宅の場合、いつ入居者が退去するかがわからないのでリスクが大きい。買い取り物件全体の3~4%程度にとどめている」(財務担当役員)と一定の歯止めをかけて運用している。

一方、インテリックスでは、リースバックを中長期視点で有効な仕入れルートと位置づけて「あんばい(安住売却)」の商品名で事業をスタート。不動産流通フランチャイズチェーン事業でハウスドゥと競合関係にあるセンチュリー21と組んで仕入れを積極的に増やしている。

【2020年6月5日15時10分追記】初出時、インテリックスの上記商品名について誤りがありましたので修正しました。

「リースバックは資金力のない中小業者では事業を拡大するのは難しく、賃貸で運用中に高齢入居者が死亡するなどのリスクがあるので大手は手を出しにくい」(能城浩一執行役員リースバック事業部長)と分析。賃貸で運用した後は、マンションだけでなく戸建ても含めて自社で売却して収益化を目指す。

しかし、入居者がいつまでも退去しなければ物件を売却して収益化することはできない。金融機関がリバースモーゲージを積極的に拡大できない理由も、「長生きリスク」「不動産価格変動リスク」「金利変動リスク」の3大リスクがあるからだ。

インテリックスではリースバック利用者とは2年間の定期借家契約を結ぶが、「何回でも契約更新は可能」なので長生きリスクが生じる可能性はある。これまでは保有件数が300件台、保有総額57億円で運用できているので、市場売却以外の出口戦略は考えていないというが、先行するハウスドゥは出口戦略の多角化を進めている。

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