「コロナ」に「人種暴動」沈没するアメリカの元凶 分裂を防ぐのではなくあおるトランプの存在

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

トランプに普段味方している人々ですら、この銃撃ツイートにはひどく苦しめられている。フロリダにあるトランプの別荘「マー・ア・ラゴ」で、トランプと一緒に過ごすことが多いテレビ・ラジオ司会者のジェラルド・リベラ氏は、このツイートの「無謀さ」を非難し、トランプに「自己検閲するように」と呼びかけた。

「おいおい、これは何だ、小学6年生か?」。リベラ氏は大統領寄りのFOXニュースでこう発言した。「火にガソリンをぶっかけてはいけない。それでは誰も落ち着かせることはできない」「(トランプは)自分の首を絞めている」。

だが支持者の多くは、トランプが危機対応を誤ったとする見方をはねつける。ミネアポリスからニューヨーク、アトランタ、ワシントン、ケンタッキー州ルイビル、オレゴン州ポートランド、その他の都市に広がった騒乱は、民主党とメディアのせいだというのだ。

民主党たたきに躍起

「巨額の物的損害、重傷者、死者が出た都市を見てみろ」と、トランプ個人の顧問弁護士を務めるジュリアーニ元ニューヨーク市長は5月29日、ツイッターに書き込んだ。「どれも民主党が支配する犯罪者に優しい都市ばかりだ。選挙で民主党を勝たせれば、こういう未来が待っている」。

今年初めに脱税などの罪をトランプに恩赦されたバーナード・ケリック元ニューヨーク市警本部長も、ツイッターでこう加勢した。「無政府主義者が乗っ取ったこれらのすべての都市が左派民主党によって運営され、暴力、殺人、貧困が極めて高い水準に達しているのは、驚くべきことではない」「自分たちの都市を普通に治めることができない彼らが、これ(暴動)に対処できるのか」。

そうした中でトランプは、「いい民主党員は死んだ民主党員だけだ」と支持者が語る動画(その支持者は政治的なたとえに過ぎないと主張しているが)をリツイートし、民主党たたきに拍車をかけた。

ホワイトハウス2階の窓からはデモ隊の姿が見える。トランプはスマホを手に取ると、ツイッターでミネアポリスの「民主党市長」が積極的な対応を怠っていると攻撃し、ニューヨーク市に対しては群衆に警察力を行使するよう求めた。

「ニューヨークの世界一の警察が、世界一の警察でいられるようにしようじゃないか」とトランプはツイッターに書き込んだ。「彼らは誰よりも優秀だが、仕事をするには許可がいる!」。

(執筆:Peter Baker記者)
(C)2020 The New York Times News Services

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事