「コロナ」に「人種暴動」沈没するアメリカの元凶

分裂を防ぐのではなくあおるトランプの存在

コロナが終息する間もなく、アメリカでは黒人男性ジョージ・フロイドの死をきっかけに各地でデモが行われている。ホワイトハウス前ではデモ隊が警察と衝突する場面も(写真:REUTERS/Dustin Chambers)

アメリカの緊張が高まっている。新型コロナウイルスで疲弊し、経済の崩壊で打撃を受け、ロックダウン(都市封鎖)やマスク着用をめぐっても国の分断は深まり、そして今度は人種問題で大揺れとなっている。だがこうした状況になっても、本能的に攻撃対象を探そうとするのがトランプ大統領だ。

アメリカでは新型コロナによる死者が10万人を突破し、失業者は4000万人に達し、警察が拘束した黒人男性を無残に殺害した事件をめぐって各都市で火の手が上がる。

ところが、国が大揺れになっているというのに、トランプは他者批判ばかりしている。攻撃の対象とされているのは、中国、世界保健機関(WHO)、大手テクノロジー企業、オバマ前大統領、ケーブルテレビの司会者、そして人種暴動に見舞われた都市の市長たちだ。

「最も凶暴な犬、最も恐ろしい武器に遭遇する」

ほかの大統領なら、こうした一触即発の状況に直面すれば事態の沈静化に動くものだが、トランプは火遊びに興じる。乱闘騒ぎを見つけては、大声を上げて首を突っ込もうとするのがトランプだ。

自身の政権が推進した感染予防対策に反対するデモをけしかけ、自らを批判する人間には殺人罪をでっち上げる。内容不明の罪でオバマ氏を責め立て、自分を怒らせたソーシャルメディア企業は厳しく取り締まると誓う。そしてミネアポリスの暴動には、どうやら「暴力をもって立ち向かう」と脅しをかけている。

黒人男性、ジョージ・フロイドが警察官に殺されてから複数の都市で爆発的に抗議活動が広がり、警官隊との衝突にも発展した。それでも、トランプは冷静になろうと訴えかけたりはしない。それどころか、一連のツイートや記者会見で騒乱の責任を民主党にかぶせ、群衆に「もっと厳しく」当たれと「リベラルな州知事や市長」を突き上げ、「われわれの軍隊の果てしない力」で介入すると恫喝した。抗議デモに対抗するカウンターデモを行うよう、自身の支持者をたき付けてもいる。

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