「ACジャパンのCM」コロナ禍でも重宝される拠所 大喪の礼、震災以来となるテレビCMの緊急事態

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「3密」はまだわかりやすかった。「密閉・密集・密接」を避ける、画像が浮かびやすい言葉だ。クルーズ船の密閉空間、感染が拡大したライブハウスなどで想像がつく。国民全体に自粛ムードが広がったものの、桜が開花した3月末の3連休で緊張は崩れた。感染がまた急増したため、3月25日に小池百合子東京都知事が記者会見し「3つの密を避けてほしい」と語る。

コミュニケーション巧者の小池都知事は、すでに自身も登場するCMを制作していた。東京都のCMキャンペーンは、「都民の皆様へ」という都知事が発信するタイプのほかに、「YouTubeクリエイターからのメッセージ」。HIKAKINなどのユーチューバーが「いま、私たちにできること」を呼びかけるタイプ、メッセージCMタイプなど多岐にわたっている。

「東京2020」の開催延期という結論が出る一方で、中国の生産ラインを持った企業は部品や原材料が届かず生産そのものが追いつかない。態度保留を決め込んでいた企業もここにきて、次の一手を打ち始めた。

自社のCMのなかでオンエア可能な商材をチョイスし、必要であれば改訂して広告する。それは企業の生き残り戦略だ。薬品、健康食品、抗菌製品。テレワークやウェブ会議の増加に合わせた「Zoom」などのCMが登場。元気だったのはフードデリバリーの「Uber Eats」。「今夜、私がいただくのは 盆栽篇」では、黒柳徹子と小松菜奈が明るいおうちライフを展開した。

緊急事態宣言とリモートクリエイティブ

4月7日、7都府県に発令された緊急事態宣言は、16日に全国へ拡大。いよいよ感染拡大が本格化し、ゴールデンウイーク明けまでの自粛が要請される。その傍らで、医療崩壊を危険視する声が大きくなり、医療関係者の疲弊も伝わり始めた。家庭内でも、卒業式・入学式が通常開催できなくなった子どもたちのストレスが溜まり始める。

そんな気分に寄り添うようにオンエアされたCMがある。大塚製薬のポカリスエット「NEO合唱」は、あえて高校生たちの自撮り画像で構成。会えない気持ちをリモートの合唱でコミュニケーションした。

3月~4月と、ACジャパンのCMはさらに急増する。ステイホームで家庭内消費が拡大するにしたがい、食品、飲料系、動画配信、保険会社などのCMが増加。アフラックはがん保険のCMのラストカットで非常事態宣言に対応することを知らせるスーパーを入れた。

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