「ACジャパンのCM」コロナ禍でも重宝される拠所 大喪の礼、震災以来となるテレビCMの緊急事態

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ACジャパンの事務局に今の状況を問い合わせてみた。「クレームはそれほどでもないが、コロナ対応の緊急CMを制作中」という回答をいただいた。

新型コロナ禍は長い闘いである。「STAYHOME週間」と名づけられたゴールデンウイークの最中に、5月6日までとされていた緊急事態宣言が5月31日まで延長された。感染者は減ってきてはいるものの、第2波が来る可能性もある。予断を許さない。

その一方で、飲食店やイベント関連など、経営破綻や閉店を余儀なくされる事業主も増えてくる。この危機にCMのできることはあるのか? 啓蒙の時期は過ぎた。次に必要なのは「感染者や医療関係者への差別偏見を防ぐこと」「ウイルスとどう付き合っていくのかを考えること」であろう。

コロナ対応新作CMも登場

4月末からいくつかのコロナ対応新作CMが流れ始めた。ACジャパンの「あなたのコロナ対策が、みんなを救う」は8タイプ。手と家のシンプルなイラストがメッセージを語る。「手洗いしてくれてありがとう」「家にいてくれてありがとう」と感謝を述べるメッセージは悪くない。押しつけがましさは公共広告では鬼門だ。

東京都は「いのちを守るSTAY HOME週間~STAY HOME,SAVE LIVES~」と題したCMの放映を4月24日からスタート。萩本欽一と香取慎吾がステイホーム週間についてストレートに語っている。

テレワーク、ウェブ会議、キャッシュレス決済、デリバリー購入。新型コロナは暮らし方のルールを変えつつある。しかし一方で、会えなければ会いたい、距離を縮めたいという欲求が高まってくるのが人間だ。出口の見えない戦いに、CMはどう寄り添えるのか、引き続き注視したい。

(月刊『GALAC』2020年7月号掲載記事を転載)

服部 千恵子 クリエイティブ・ディレクター

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はっとり ちえこ / Chieko Hattori

元東急エージェンシーECD。ACCやACジャパンなどのクリエイティブ委員を経験。メディアの変化に戸惑いながらも、制作者の視点でCMを見続けることが、もはや趣味のようになってきた。傍ら、漆などの「手の仕事」に傾倒し、漆サロンも主宰している。ギャラクシー賞選奨委員会CM部門委員長を務める。

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