当たり前のことですが、フェイスブックやリンクトインでよいコンテンツをシェアしていても、設定言語を日本語にしているかぎり、発信情報はほぼ日本の中にとどまってしまいます。かく言うこのコラムも日本語で書いていますから、読者は日本人限定で、世界のネット市民へと広がることは期待できません。
インターネットの最大の美点である、国境や民族を超えて地球市民と交流し、知識の共有や創造ができるという特質を、生かしきれていないわけです。共通言語としての英語で発信して初めて、日本発の情報が世界から認識され、インターネットの真の恩恵を受けることができるのです。
芽生えつつある日本のベンチャー企業にも、この傾向はみられます。日本市場の規模は十分大きいので、立ち上げ時点でまず日本しか相手にしておらず、海外への発信は二の次になってしまう。企業ホームページの英語版を作ったら、海外からの問い合わせが入るようになってビックリ、なんていう素朴な話も時々耳にします。
出るくいは打つな。育てよう
グローバル市場で日本の存在感を高めるのは、企業トップの役割です。事業の成長戦略やブランドのビジョンを明快に示し、先頭に立って実行するリーダータイプの経営者なら、ニッポンブランドへの期待や評価を高めることができます。そしてもうひとつ、現場の若い人材が持つエネルギーや好奇心を、外の世界へ向けて解き放つことが大事だと思います。
日本のビジネス現場は、優秀な若手の宝庫です。その中で、グローバル発信を担えるのは、逆説的ですが、謙虚で奥ゆかしい日本人らしさからほど遠い、「日本人離れ」したエネルギーとパーソナリティを持った人材だと思います。もちろん、コトバやプレゼンテーション技術も大事なのですが、大企業中心の日本のビジネス社会では、ともすると敬遠されがちだった「自分の意見を明確に持って、誰に対しても臆することなく物事をはっきり言う」タイプの人たちにこそ、グローバルへの適性とポテンシャルがあると思います。
日本の企業は、大切な人材を中に囲い込みたがる割に、突出した個の才能をなかなか認めません。上司の言うことを聞かない若手は、組織になじまず異端児扱いされがちですが、たとえ態度が気に入らなくても、高い個人技や潜在能力は正しく評価しなければなりません。社会全体としても、並外れた行動力や突拍子もないアイデアを出す人たちを、温かい目で見守るべきだと思います。
ユニークな発想をする人には、まずは「それいいね。面白いね!」と声を掛けたいものです。「そんなことホントにできるのか?」とネガティブチェックを仕掛けて潰しても、誰も得をしません。新規ビジネスやベンチャーキャピタルは確かに不確実性をはらんでいますが、うさんくさい目で見るような保守的な空気は一掃すべきです。
最近、大企業でも「企業内ベンチャー」制度を作ったり、社外の有望起業家とコラボしたりするところが出てきました。こうした動きが、アイデアと行動力を持つ個性豊かな若者たちの背中を押して、彼らを国内だけでなくグローバル市場へと向かわせてくれることを願います。
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