国際競争からの脱落も、岐路に立つメガバンク
国際的に業務展開する銀行への自己資本規制強化で、日本の3メガバンクグループに対応できない脱落組が出てくるのか--。
2009年末、まずは三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が1兆円の巨額公募増資を敢行。これを追う形で、三井住友FGが年明け、8000億円の資本調達をぶち上げた。残るみずほFGの対応について注目が集まっている。
国際ルールを定めるバーゼル銀行監督委員会は12月17日、焦点となる新たな規制案(銀行セクターの強靭性を強化するための市中協議提案)を発表した。この「たたき台」をベースに、「定量的影響度調査」を実施したうえで、規制の内容を10年末までに最終決定する。
BIS自己資本規制は、国際的に活動する金融機関に対し最低限必要な自己資本の額を定めたもの(現行は8%以上)。すでに、昨年9月のG20ピッツバーグサミットで、新規制において中核的自己資本であるTier�のさらに主要部分としてTier�コモンエクイティ(以下、Tier�コモン)というカテゴリーを設け、損失吸収力が高く配当制限可能な「普通株」および「内部留保」とすることが決まっている。さらに、プロシクリカリティ(景気循環増幅効果)を抑制するため、好況時には資本を積み増し、不況時には取り崩しが可能とする運用も合意された。
日本にとって新規制で最大の衝撃は、資本の「質」と「量」を格段に強化する方向が打ち出されたことだ。規制見直しの契機となった昨今の金融危機の原因は、欧米金融機関のリスクテイクの手法にあった。だが、改革はリスクの捕捉強化にとどまらず、資本強化にまで及んだ。
新規制では、従来の自己資本比率の規制(8%)だけでなく、Tier�コモン、Tier�という中核部分の最低所要比率も決められる。市場ではTier�コモンは4%以上、Tier�は8%以上との観測が流れている。