日本企業の中でも自前主義からの脱却を図ろうという動きも見られるが、いまだに自前主義にこだわり続けている企業も少なくない。最先端のスマホの部品や技術に不可欠な部品を自前主義で作り続けている。しかし、素材の調達から部品の開発、開発要員の確保などなど、すべて自前でそろえて時間やコストをかけて作り上げた製品も、世界中のイノベーションの波の中ではあっという間に新しい技術に凌駕されていく。
そんな中で、日本の旧来型の考えが根強く残っている中央官庁の官僚や地方自治体の公務員は自前主義にしがみついている。今回の10万円の特別給付金配布のためのシステム開発を、それぞれの各自治体が始めると言った現実は、スピードやコストを無視した時代遅れとしか言いようがない。
その結果、緊急事態宣言が解除された今なお、10万円を手にしている人間極めて少数だ。
政府が進める「デジタル・ガバメント実行計画」についても、 NTTデータ経営研究所が「緊急提言 『デジタル・ガバメント実行計画』を画餅で終わらせないためには~実行者は「官」ではなく「政」である~」というレポートを発表している。
2018年1月に公表されたデジタル・ガバメント実行計画の概要について、「内容は高く評価するものの、この改革は『デジタルを武器とした社会制度改革』であり、その実行主体は『政』である」と提言している。
紙・ハンコ文化が根強く残る日本
現在の行政サービスは、住宅の購入や自動車購入と言ったさまざまな手続きひとつにしても、山のような書類を何回も記載し、印鑑や実印を捺印し、署名提出しなければならない。加えて住民票や課税証明書、各種の登記事項証明書等の公的証明書を添付しなければならない。場合によっては、これらの証明書を入手するのに自治体の窓口や法務局等に出頭しなければならない。
ペーパーレス化やワンストップ化が日本の場合、まったくできていない。裁判のデジタル化なども夢のまた夢と言っていいのかもしれない。欧米や中国、韓国では、ペーパーレス化やワンストップ化がすさまじい勢いで進んでいる。
日本政府のこうしたデジタル化の遅れは、政治のリーダーシップのなさの象徴でもあり、自民党や公明党といった与党の責任でもある。
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