コロナ禍の日本を襲う「今夏」の怖い気象リスク 「避難所」の三密は災害時に回避できるのか

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問題は、コロナ禍が続く中でこうした避難所生活を強いられる状況に陥ったときである。集中豪雨や台風で避難施設に多くの住民が集まったらどうなるか。プライバシー確保もままならず、収容人員にも不安がある避難施設では、三密状態を避けるのは至難の業だ。災害時に適切な収容人員管理、三密回避策を瞬時に講じることができるだろうか。

ある自治体では①避難所での受付時に体温をチェックし、発熱者はほかの避難者と離れて過ごしてもらい、保健所などと連携して対応する②避難者同士の間隔を空け、消毒や換気も徹底する③危険が迫る前に親類の家やショッピングモールなどに避難してもらう――といった対策を進めている。

とはいえ避難施設に無症状の感染者が紛れ込んでしまえば、避難所がクラスターとなる恐れは十分ある。体温測定だけでは完全な見極めは厳しい。間仕切り用のテントを購入する自治体も増えているが、よほど施設内の換気をよくしない限り万全ではないだろう。避難所の三密回避策は悩ましい問題である。

熱中症被害はコロナ禍で拡大の恐れも

熱中症の問題も深刻だ。毎年、子どもから高齢者まで多くの人が熱中症で救急搬送されている。消防庁によると、2019年の5月から9月の全国の熱中症による救急搬送人員は7万1317人で、このうち死亡者は126人だった。

年代別に見ると高齢者(65歳以上)が52%、成人(18歳以上65歳未満)が34.9%、少年(7歳以上18歳未満)12.2%などとなっている。発症場所は住居が最も多く38.6%、次いで道路、屋外、仕事場となっており、教育機関(学校など)は6.1%だった。実際、「クーラーをつけない住宅で熱中症に」といったニュースが多い。

今年はここに新たにコロナ禍の影響が加わる。医療や福祉の専門家13人でつくる「教えて! 『かくれ脱水』委員会」は5月1日、「このまま熱中症シーズンを迎えたら、日本の医療現場は崩壊します!」という緊急提言を発信した。

その中で例年よりも熱中症の発症リスクが高まる理由として①春季の自粛による運動不足で暑熱馴化(しょねつじゅんか)ができていなく、筋肉量が減っている②マスク着用で体内に熱がこもりやすくなっている点を指摘している。さらに熱中症にならなくても脱水症が免疫機能を低下させウイルス感染しやすくなる点についても言及している。

心配なのは高齢者だけではない。多くの県で学校が再開されたが、空調の効いていない教室での授業、体育館や講堂での集会など子どもたちの身の回りにも危険はいっぱい。例年以上に熱中症対策が必要だ。

長期化する新型コロナウイルス感染と、迫りくるさまざまな気象リスク。日本はかつて体験したことのない過酷な夏を迎えることになる。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログでは、最新の病状などを掲載中。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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