「初めての子育てにコロナ直撃」新米親の悩み 出かけることも躊躇しながらの手探りの日々

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武蔵小杉森のこどもクリニックでは、通常の診察時間とは別に予防接種や健診の人専用の「クリーンタイム」や、通常診療の人とは会わない導線の「特別隔離室」で対応にあたっているが、コロナ禍によりその枠を拡大した。

また、4月下旬から導入したオンライン診療や電話診療も利用者が急増しているという。

「とはいえ、対面診療のほうがいいことには変わりない。症状などによっては、対面への切り替えをお願いすることもある」

そのため、受付でのファイルの受け渡しをしないようにしたり、絵本の貸し出しをやめたりするなど、対策も講じている。大熊氏曰(いわ)く、小児科を標榜しているところであれば、感染対策はどこも対応しているはずだそう。

予防接種も重要

また予防接種についても、その大切さを訴える。

「予防接種は、新型コロナウイルスは関係なく、防げる病気を防ぐためのもの。赤ちゃんは自分で意思表示ができないため、親の不安が接種するか否かを決定するとき、大きく影響する。

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普段は、みんなが予防接種を打っているので、疫病もはやらず、ありがたみは感じられないかもしれませんが、それはみんなが予防接種をしているから。

予防接種によっては推奨している時期と、実際に接種できる時期は異なるので、スケジュールを考えるときに確認することもお勧め。例えば、BCGの推奨月齢は5〜8カ月だが、1歳までは公費で打つことができる。今回のコロナ禍で大変な時期ではあるが、病気を防ぐ大切さも今一度考える機会になってほしい」

新型コロナウイルスへの有効性が取り沙汰されたBCGについては、老若男女問わず多数の問い合わせがあった。日本ワクチン学会では迅速に本来接種すべき月齢の乳児優先の声明を発表したが、それでもSNSなどでBCGワクチン不足を訴える声が聞こえてくる。

「川崎市では公費で接種できるワクチンについては、行政が確保した後に市内のクリニックに配布するため、接種すべき年齢の子どもの分はおおむね確保できているが、本来接種すべき月齢以外の小児(2回目のBCG接種希望)や不安にかられた成人の接種希望者が殺到したため、ワクチン不足のところが出てきた」ことが要因のようだ。

子どもたちの健やかな成長を守るため、乳幼児の保護者たちを支え、コロナの第2波、第3波に備えて、不安を取り除く環境と情報発信が早急に求められている。

吉田 理栄子 ライター/エディター

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よしだ りえこ / Rieko Yoshida

1975年生まれ。徳島県出身。早稲田大学第一文学部卒業後、旅行系出版社などを経て、情報誌編集長就任。産後半年で復職するも、ワークライフバランスに悩み、1年半の試行錯誤の末、2015年秋からフリーランスに転身。一般社団法人美人化計画理事。女性の健康、生き方、働き方などを中心に執筆中。

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