5月25日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って4月7日から発令されていた緊急事態宣言が、残る東京など首都圏の1都3県(神奈川、千葉、埼玉)と北海道で解除された。
今後、政府はおおむね3週間ごとに地域の感染状況や感染拡大のリスクを評価しながら外出の自粛、イベント等の開催制限、施設の使用制限の要請等について段階的に緩和していく方針だ。
政府は5月中においては、都道府県をまたぐ不要不急の移動を避けるように呼び掛けている。6月1日~18日までは最後に解除された5都道県との県をまたいだ移動について慎重に検討することを要請し、完全に移動が自由になるのは6月19日以降としている。
5/29(金)~31(日)の3日間は特に注意
だが、今月末、あるいは6月19日を待たずに、この間の長距離移動を自粛していた人たちが、最後に解除された5都道県をまたぐことも含めて、一気に移動を始める可能性がある。特に懸念されるのは今週末の5月29日(金)~31日(日)までの3日間だ。旅行や観光・レジャーへ大っぴらに出かける人はさすがにいないと信じたいが、親の介護や親類縁者の葬儀が入った人や、急用の業務出張のほか単身赴任先から自宅へ一時帰宅するビジネスパーソンの姿が見られるかもしれない。
特に単身赴任者はゴールデンウイーク(GW)中はおろか、そこから3週間も身動きが取れなかった。不要不急に当たらないと考えるかどうかは当人次第かもしれないが、2カ月以上も自宅に戻れていない単身赴任者は、家族のことも心配になっているだろう。新幹線や航空便が混雑する可能性がある。混雑する車内・機内での感染防止対策が鉄道・航空会社、利用者双方に望まれるところだ。
実際にANA(全日本空輸)では、5月25日に緊急事態宣言の解除が確定的になった段階から羽田~大阪(伊丹)線などで予約が目立ち始め、急遽29日(金)~31日(日)までの3日間において、臨時便1往復の運航を決定した。ただ、それを加えてもANAの羽田~大阪(伊丹)線は1日3往復しかなく、1日6往復を運航するJAL(日本航空)便も含めて満席便が目立っている。
これらは便数を絞っているだけでなく、機体も小さくしている。JALでは一部の座席をあえて販売しないで空席によってソーシャルディスタンス(社会的な距離)を取る対策もなされていることで、販売座席数が少なくなっていることも影響している。
注意しなければならないのは、東海道新幹線をはじめとした新幹線のほか、ANA、JALなどの国内航空路線では、4月以降、本数を大幅に減らしており、5月中は極端に本数が少ない路線があることだ。
東海道新幹線は、2019年度に1日平均で230本の「のぞみ」を東京~新大阪間で運転していたが、4月24日から臨時列車の運転を取りやめたことで1日平均152~164本までに減少。さらに緊急事態宣言が延長されたことで5月11日~31日までは1日平均101本まで減っている。
運転率は「のぞみ」だけで約41%、東海道新幹線全体で約66%となっている。それでも空席が目立ってきたが、航空便と同じように旗色が変わるだろう。
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