リアル脱出ゲーム、コロナ禍でも大人気のワケ 在宅時間増加で「リモート版ゲーム」に追い風

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コロナ禍以前からサービスへの問い合わせは多かったが、今回の新屋島水族館での取り組みを機に、レジャー系ビジネスの収益化を加速する。

アバターインの深堀昂CEOは「『1時間で世界10カ国訪問』のような、これまで不可能だった旅行も実現できる」と展望を語る。現在70台が医療機関などに導入されているニューミーを、2021年の東京オリンピックまでに1000台まで拡大し、利用数に応じた手数料収入モデルの確立を目指す。

一方、演劇界では、「テニスの王子様」「美少女戦士セーラームーン」など、2次元の漫画やアニメと3次元の舞台コンテンツを組み合わせた「2.5次元ミュージカル」を手がける演劇プロデューサー、松田誠氏が発起人となり、舞台映像配信・中継プラットフォームサービス「シアターコンプレックス」立ち上げの資金集めがスタート。クラウドファンディングを活用し、5月22日時点で目標の1億円を達成している。

配達員の仕事で食いつなぐ俳優も

近年、ミュージカルを中心とする舞台公演市場は緩やかに成長を続けてきた。2020年は東京オリンピック関連のイベント開催も重なり、深刻なステージ不足も懸念されてきた。しかし、コロナ禍によるイベントの自粛要請で状況は一変。春先の公演は軒並み中止に追い込まれていた。

シアターコンプレックス事務局の繁松徹也氏は「突然ギャラがなくなったため、トップ層でない役者の中には、ウーバーイーツの配達員を始めて何とか食いつないでいる人もいる。照明や撮影の関係者も仕事がない」と危機感を募らせる。

シアターコンプレックスは、「過去作品のアーカイブだけでなく、リモート系演劇など新作に注力し、業界関係者に仕事を提供したい。クラウドファンディングの資金も新作を中心に投入していく」(繁松氏)。具体的な収益モデルは今後詰めるが、月額1000円弱のサブスクリプションサービスと、コンテンツごとの個別課金を組み合わせ、コロナ収束後も舞台人気の向上に貢献するサービスとして運営を続ける方向だ。

余暇社会学を研究する東京女子体育大学の笹生心太准教授は「定義上、レジャーは強制されない活動を指す。外出自粛を強いられている時点で、(コロナ禍における多くの)自宅レジャーは、本来のレジャー欲を満たせていないはずだ」と分析する。

コロナ禍で自宅で余暇を過ごす消費者が多くいる中、レジャー各社の創造力が求められている。

森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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